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第五章・3
「指一本くらい、入るかも」
秘所の周辺を押してほぐし、沙穂は自分の指を入れてみた。
第一関節くらい、ようやく入る。
「も、ダメ。真輝さんにお任せしよう……」
そう。
僕は、エッチが苦手だ。
(元カレのリードで、なんとかセックスしてたけど)
本来、性欲は強い方ではないし、性交が好きな方でもない。
ただ、求められれば応じる。
沙穂は、そんな受け身の性の持ち主だった。
のぼせない程度でバスタブから上がると、脱衣所で待ち構えていた使用人にバスタオルで全身拭き上げられた。
「自分で! 自分でできますから!」
椅子に掛けさせられ、ドライヤーで髪を乾かしてもらう。
爪を切り、体に保湿クリームを塗り込まれる。
大騒ぎのバスタイムを終え、沙穂はようやく寝室へ入った。
サイドテーブルには水差しとグラスが用意してあったので、一口いただくと。
「おいしい! 何だろう、この水。どこかの銘水?」
「それは南極の氷を溶かして作った、ミネラルウォーターだ」
笑いながら、真輝が寝室に現れた。
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