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第八章・2

 真輝は、沙穂に与えた部屋の前で歩みを止めた。 「沙穂、準備はいいか?」  ノックをし、中へ入る。 「あ、真輝さん」  部屋の中央には、使用人に手伝ってもらいフォーマルを身につけたばかりの沙穂がいた。 (何て美しいんだ!)  カフェでの仕事着の印象が強かった分、晴れ着に身を包んだ沙穂は輝いて見えた。 「どうでしょう。やっぱり僕には似合わないですよね?」  声を失っていた真輝に、沙穂はおずおずと尋ねた。 「そ、そんなことはない」 (一瞬、我を忘れて見蕩れた)  心の声は表に出さず、真輝は必死で自分を立て直した。 「似合っているとも。君はきっと、パーティーの中心になるだろう」 「ありがとうございます」 「そろそろ時間だ。行こうか」 「はい」  使用人に付き添われ、二人は大広間へと進んだ。

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