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第八章・4

「白洲さまのご趣味は、何でしょう?」  そう尋ねてきたのは、精悍な顔立ちの青年だった。 (わ、カッコいい人だ)  だが、その眼差しは鋭く切れている。  挑戦的な光を、たたえている。  少し意地悪そうに見えたのは、気のせいだろうか。 (えっと……)  沙穂は、この屋敷に来て真輝と一緒に遊んだ体験を振り返った。  乗馬に野点、ゴルフに美術鑑賞……。  それらを述べると、対面にいた中年男性が驚いて見せた。 「多趣味でいらっしゃる。中でも特にお好きなものは?」 「そうですね。乗馬です」  すると、先ほどの青年が重ねて問うてきた。 「お気に入りの馬の名前を訊いても?」 「ガイア号と言います。とっても大人しいんですよ」  青年は、さらに畳みかけてきた。 「お茶もなさるんですね。お持ちの茶碗は?」 「はい。『好日』です」鬼萩茶碗の」  馬は、一度乗ったきりだが。  茶碗は、一回使ったきりだが。  ただ沙穂は、何か尋ねられた時は、このように返答するようにと、真輝から言われていた。

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