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第4話

あの夜から3年が経ち、二人の拾い子はすくすくと育ちに育ち、見た目は人間ならば13、4歳位のイケスカねえガキになった。 青い方は(すい)、茶の方を(りく)と名を付け、あの日から風と二人で育ててきた。 人狼。 俺と同じ種。 それの意味するところに不安がなかったわけではないが、楽しそうに育児をする風を見ていると、その時はその時だなと覚悟だけは胸の奥深くに決め、俺もそれを楽しむことにした。 真夜中に熱を出したり、食うなと言うものを食って、危うく生命の危機を招きそうになったり、物を壊したり、喧嘩をしたり…人の住む村に行きそうになったり… 色々な事を風と二人で乗り越え、ようやくここまできた。 正直、楽しい事なんてのはほんのひと握りだったが、それでもそれがその他の苦労を全て吹き飛ばしてしまうんだから、不思議だよなと風ともよく話した。 二人は図体はそれなりに大きくなったが、心や経験、体験はまだまだ未熟。 この先の色々を考えると頭が痛くなる…。 俺が通ってきた道を思い浮かべ、頭を抱える俺を風が微笑みながら、 「大丈夫、僕達の自慢の息子達だもん!きっと大丈夫!」 と、よくわからない自信で俺を慰めてくれた。 確かに二人共そこそこ合格点は与えられるほどには育っていると思う。 しかし、これからは人狼として、この世界で生きていかなければならない。その事を教えなければ…そして俺の心の奥深くに眠らせてある疑惑も… 二人がいる生活…まるで本当の家族のような… この世界が俺達だけだったら、良かったのに… 「雷、寝るなら部屋に行けよ!なあ、雷ってば!!」 「あぁ?!陸、そこにマット持ってこい…今夜はここで寝るぞ!」 「本当?!水、マット持ってこいって、雷が!」 呼ばれた水が横にいる風を見る。 微笑みながら風が頷くと水が陸と部屋から飛び出して行った。 「どうしたの?」 風が俺の座るソファの隣に腰掛けた。 「別に…眠くて部屋に行くのが億劫になっちまっただけだよ。」 「ふぅん。」 「なんだよ?」 「別に。」 そう言って立ち上がろうとする風の腕を引っ張ると、抱きしめて唇を合わせた。 「おい!何してんだよ!」 舌を絡める寸前で、陸の声が飛んできた。 「愛を確かめ合ってんだよ!…ったく、お前にもしてやろうか?」 「げぇっ!いらねぇよ!!」 「ほら、さっさと敷けよ。水、かけるものは?」 「はい、これ。」 風が水から毛布を受け取った。 俺と風の間にあの夜と同じように陸と水が入り、俺の腕と風の腕を枕にして眠る。 風が大丈夫だよと唇を動かした。 お見通しか… 頷いて風の手を握り、目を閉じた。

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