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第5話
「雷、起きろよ!なあ、雷ってばぁ!!」
陸が俺の上に跨って人の頭をバシバシと叩いてくる。
「ってぇなぁ!」
急にがばっと起き上がると、それにバランスを崩した陸が俺の上から転がって、ベッドから落ちる寸前でその腕を掴んだ。
「それで?」
尋ねる俺に掴まれた腕を振り払い、ベッドからおりながら
「風がいない…水も。」
そう言って俯く。
「はぁ?!」
「俺が起きたら二人共いなかった…」
あ、こいつ泣いてるな?
大方、風と水の二人で木の実か何かをとりに行っているんだろう。
陸もそうだと分かっているはずなんだが…あぁ、連れて行ってもらえなかったから拗ねてやがるのか…それで泣くとか、まだまだガキだな…
そう思うと、おかしさに耐えきれなくなり
「ぷーーーーーーっ!」
盛大に吹いた後で大笑いする俺を、陸が思った通り涙目の真っ赤な顔で睨みつけ、ジャンプしながら蹴りをかましてきた。
避けたら後ろの窓が割れるなと思った途端に風の怒り顔が頭をよぎる。
しかたねぇな。
ベッドの上で立ち上がり、陸の飛んできた足を掴んだ。
そのまま逆さでぶらぶらと揺らす。
「やめろっ!!バカ雷!!!離せよっ!この馬鹿力っ!離せぇっ!!」
「ったく、うるせえなぁ。そんなに騒がなくても離してやるよ。」
ほらと手を離すと、どんと腰からベッドに落ちる。
「いってぇーーーーーっ!!」
「ただいまぁ!」
タイミング良くと言うか悪く、風と水が帰って来た。
陸の耳がぴょこんと飛び出て、尾が我慢できずに激しく振られている。
その尾を掴んでやろうかと思う前に陸が部屋を飛び出して行った。
何かごねている陸に風が謝る声が聞こえて来た。
「ごめんね、陸。」
「寝ていた陸が悪いんだから、風が謝る事ない!陸、風から離れろって!」
水の声も聞こえて来る。
「うるせえ!風、雷が俺を落とした…痛かったんだよぉ〜!」
「え?!大丈夫?どこが痛いの?」
心配する風の声。
まったく陸のやつ、自分が悪いことは一切いやあしねえ。
「おい!おまえが飛び蹴って来たのが原因だろう?」
我慢できずに廊下に出る。
「だからって、落とすことないでしょう?」
風に怒られて、横を向きながら答える。
「ベッドの上で、手を離しただけだ。」
「それを落とすって言うの!もうっ!大丈夫?」
陸の痛がる腰のあたりを風が撫でる。
「あ、そこ痛いかも?」
ニヤニヤと俺を見ながら、甘えた声を出す陸にカチンと来た俺が、撫でている風の手を掴んだ。
「もうっ、そこまで!」
いきなり今まで黙っていた水が声を出した。
「はい、風は木の実を持って台所に行って。雷は部屋に行って服を着替える!陸は痛い所を僕が見てあげるからリビングに行く!はい、散らばって!!」
ぱんぱんと手を打つ水の迫力に押されて、各々が言われた通りに動き出した。
部屋に戻り、着替えながらも悪態をつく。
「何で俺が怒られなきゃなんねぇんだよ!ったく!はぁああああああっ!」
部屋の外に向かって聞こえるように大袈裟にため息をついた。
暫くすると、トントンと扉をノックして、風がコーヒーの入ったマグを二つ持って入って来た。
サイドテーブルに置くと、ベッド端に座る。
その後ろから抱きしめる俺の腕に口付ける風をそのまま横倒しにした。
「俺が悪いんじゃねぇよ。」
「分かってるよ、雷。」
「本当に?」
「だから来たんだよ?」
ベッドに仰向けにした風の唇を覆う。
「んっ…んんっ!」
「怒りが落ち着かねぇ…風、いいか?」
「二人には木の実を届けに行かせた。だから…雷。」
頷く風の腰を抱きしめ、俺のそれとわかる膨らみに擦り助ける。
「指で…」
「大丈夫…昨日のでまだ…だから、大丈夫だと思う。」
風が顔を横に向け、真っ赤になりながら答える。
「だったら…っ!」
風の履いているものを剥ぎ取り、俺のをずり下げると、ググッと腰を押し込む。
「くぅうんっ!」
風の口から可愛い声が漏れ出て、俺を刺激した。
「きっつ!」
「雷の…お…っきぃいいっ!」
やはりいつもよりは少しキツイが、これはこれで風の辛そうな顔が見られていいな。
必死に唇を噛んで我慢する風が、それでも少しずつ俺の腰の動きに合わせて甘い声を出し始める。
「はぁああん!雷っ!雷っ!そこ、だめぇ…あっ!いやぁあああっ!雷っ!」
ぎゅうっと俺の首に手を回し、足を俺の腰に回す。
ぐぅっと腰がくっつき、俺が風の奥深くに入って行く。
きゅうっと俺を搾り上げるように風の中が動く。
「っくう!」
一気に風の中が温かくなり、風が力が抜けたようにその手と足を離す。
「雷ぃ…こ…っち、きてぇ」
甘えた声を出す風の横に突っ伏すと、風がふふっと笑いながら俺に軽く口付ける。
「少し眠る…ね…」
「あぁ。」
しかし、俺の答えを聞く前にはもう、風は眠りについていた。
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