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第20話
「今の何?」
何も知らされていない陸が一人騒ぎ立てる。
「お前にはもう少し後で…そうだな。水が色々と二人きりの時に教えるだろうよ。」
俺の言葉に水の顔が真っ赤になる。
「雷のバカ!」
水がぷくっと頬を膨らませて横を向くが、陸の視線とぶつかり真っ赤になってしゃがみ込んだ。
「水、どこか痛いのか?」
心配して陸が水の身体に触れようとするのを、水の手が叩き落とす。
「なんだよ!人がせっかく心配してやってんのに!」
「あのなぁ、陸。お前は水の為にもさっさと大人になってやれ!」
「なんだよ、それ?俺はもう大人だってーの!」
「はいはい。オラ、帰るぞ俺達の家にな。」
言う俺の腕の中で風が涙目で頷く。
「もう離さねぇから、覚悟しとけよ…まずは今夜…な。」
「雷…うん。」
風が顔を真っ赤にして頷く。
ふと横を見ると陸が水に耳打ちしているのが聞こえた。
「俺も今夜、水と一緒に寝たい…水、いいだろ?」
「寝る?って…え?!」
「兄弟じゃできない事…しよう。」
「陸?!」
「俺とじゃ…イヤか?」
水が顔を真っ赤にして頭を振る。
こっちもこっちでしっかり成長していたんだな…
少し寂しいような嬉しいような感情に目頭が熱くなる。
「雷、大丈夫?」
風に尋ねられ、ああと頷いた。
これからも俺達は色々ありながらもこうやって家族を続けていくんだろうな。
そんな事を考えながら、俺達の家に向かった。
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