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僕の悩み事–2

「…とは言っても、金狼は生まれた時からそれとわかるんだよ。」 雷の言葉に、え?とその顔を凝視する。 「俺のこの髪な、生まれつきの金髪なんだ。金狼化する奴は、みんな金髪で生まれて来るからすぐにそれとわかる。」 「後から、銀髪から金髪に変わるってことは?」 我慢できずに雷に尋ねる。 「それは聞いたことがないな。そうやって生まれてきて、大体お前らくらいより少し前、あぁ…その、何だ?相手を意識し始める頃に…」 「意識って何を意識すんの?」 「陸っ!」 雷がうまく遠回しに言おうとしてるのに… 雷が困ったように天井を仰ぐのを風がくすくす笑いながら口を開いた。 「陸が水の事を特別だなって、抱きしめたりしたいなって思い始めたのっていつ頃から?」 風に聞かれた陸が頭を捻って考え出す。 「んー、家族として特別なのはずーっと前からで、それでもっと触りたいって思うようになったのは…何年か前から。」 「じゃあ、その頃って事だよ、雷が言ってるのは。」 「そっかー…あっ!水のこと考えるとここが痛くなり出した頃ってことか!?」 分かったと言うように大きく頷くと、そう言って自分の下半身を指でさす陸に風が困ったように微笑みながら、そうだねと陸の指をそこからそっと離し、雷は顔を真っ赤にして陸っ!と怒鳴るよりも先に拳骨が陸の頭を直撃していた。 なんだよぉと涙目で雷を見る陸を、雷にダメだよと怒りながら風が抱きしめて殴られたところに息を吹きかける。 そして、僕は陸のとんでもない告白に、顔を真っ赤にして俯いたままでいた。 「コラっ!いつまで引っ付いてるんだよ!?お前にも相手がいるんだから、そっちに慰めてもらえ!風は俺のモノだ!」 いきなり僕の体に衝撃があり、何事かと顔を上げると、雷の腕の中でごめんねと風が手を合わせていた。 「水、慰めてやれ!」 雷に言われて視線を動かすと、床に倒れた体を起き上がらせようとしている陸と目が合った。 「水ー、頭痛いよぉ!」 陸が半泣きで僕の方に頭を押しつけてくる。 「うるさいっ!」 照れ隠しも相まって思った以上の力で頭を叩いてしまったようで、パチンくらいの音を想像していたのに、バチンという音が部屋に響き、雷と風が目を丸くしてこちらを見た。 あ…と陸の方を見ると、ふるふると肩を震わせて俯いている。 「り…く…?」 さすがにまずいと思い、おずおずと陸の肩に手を置くと、ぐっと掴まれて僕の胸元に陸が飛び込んできた。 「え?陸?ちょっと…!」 引き剥がそうとするが、陸の腕がガッチリと背中に回って動かない。 「おい、そういうのは部屋でやれよ!」 雷が陸の背中を足で突っつく。 「雷達だって俺達の前でそうやってるじゃん!」 陸の言葉に俺逹はいいんだよと雷が言うと、ずっりーの!と陸が言いながら、僕をスッと抱き上げた。 「もう、いいんだろ?」 陸がそう言って雷と風を見ると、雷が頷いて優しく僕に語りかけた。 「お前のは金狼化じゃねぇよ。見た感じだけど、先の方は金だったが元の方は銀に戻ってた。多分、人との間に生まれた事による何かだと思うが、金狼化ではない、心配するな。」 「黒兎が生まれたって言う話も聞かないしね。」 にこっと笑って風が雷を見つめる。 「一応さっきの続きだけど、俺はその頃にいきなり金狼化して、暴走した。その後のことは前に風と会った時の話をした時にしただろ?…と言うことで、俺達も部屋に籠るわ…風…煽るな…ったく!」 いつも顔を赤くする風に変わって、今日は雷が顔を赤くして、風を抱き上げると部屋から出て行った…風が雷の耳に何かを囁いて手が雷の耳をいやらしくさするのを見つめる僕に、軽くウィンクした風も扉の向こうに消えた。 静かになった部屋で、僕を抱き上げたままで扉の閉まるのを見ていた陸が、僕を見る事なく俯くと口を開いた。 「心配事とか悩み事があるなら、俺に言ってくれよ…前みたいな事にはならないように、ちゃんと水に相談する。雷や風と比べれば全然頼りにならないってわかってるけど、それでも雷達よりも俺を頼って欲しい。なぁ、水…俺を頼ってくれよ。」 僕の胸元に顔を埋めたままで苦しそうな声で語りかける陸に愛しい気持ちが湧き上がり、ぎゅっとその頭を抱きしめた。 「うん。ありがとう…ありがとう、陸…大好きだよ、陸…愛してる。」 「知ってる!」 へへっと笑って顔を上げた陸が、僕に優しくキスをしてくれた。

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