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風の隠し事-1

「おまえなぁ…なぁ、どうしたんだよ?何かあったのか?」 部屋に入り、ベッドに風を抱いたままでどかっと座り、それでも耳を誘うように触る風に尋ねる。 「風、やめろって!おい!こっちを向けよ!風!」 ぐいっと俺の耳に触れている手を掴み、もう片方の手で顎を掴むと無理矢理俺の方にその顔を向けさせた。 「風!この前の時にも言わなかったよな?村で何かあっただろう?おい!」 陸がおかしくなって、危うく風を殺しそうになったと言う事件の後で、風から風の親父さんが死んだと聞かされた。 それで、風の弟が風を探し出して一緒に生前の親父さんに会う為にちょこちょこと風の村に帰り、俺との事、村のこれからの事の全てに方をつけてきたと明かしてくれた。 まぁ、その事で要らぬ心配をした水に相談された陸が少しおかしくなったりしたが、実は陸ほどではなかったが、あの時にも風は少しおかしかった。 二人きりになった時にその事を尋ねてはみたが、何でもないと言うだけで答えを聞き出せなかった。まぁ、親父さんが死んだ直後っていうのもあって、あまり強くは聞けなかったと言うのもある。 しかし、あれからある程度の時もたった今日、水の金狼化騒ぎの後で、風がいつもなら陸と水の前では絶対にしない俺を煽り誘う行為。それを二人の前ですると言う、いつもの風なら到底考えられないような事をした。 それだけでも十分に何かあると不審がる俺に追い討ちをかけるように 「ねぇ、雷…何で僕に触れてくれないの?」 甘く舌ったらずな声で言いながら、顎を掴む俺の手を外すと顔を近付けて来る。 唇が合わさり、俺の口を開けさせようと舌を突き出す。 自分からキスなんて、してくれても親子のするようなキスですらなかなかしてくれない風がこんな事をするなんて、何かあるから聞いて下さいって言っているようなもんだろう? 「だから、何があったって聞いてるんだよ!おい、いい加減にしろよ、風。俺を怒らすな。」 怒りの為か、声のトーンが低くなる。風はこの声を聞くと、威圧されるようにガタガタと震え、俺の言う事を聞かざるを得なくなるらしい。今も一瞬で甘い空気の消え去った部屋、風は震える体でゆっくりと唇を離すと、そのまま俺から離れようと後ずさった。 しかし、俺が掴んでいる腕のせいで離れることはできず、俯いたままの視線が揺れ動いているのが分かる。 掴んだ腕をぐいっと引っ張り、風が驚いて顔を上げながら俺の胸に倒れ込む。 「…めんなさい…雷、許して…下さい。」 涙の浮かんだ目で俺に許しを乞う。しかし、謝罪の言葉が聞きたいわけではない。風の耳元に顔を近付け、先ほどよりも低い声で囁く。 「俺に隠している事を全て話せ、風。」 ビクッと風の体が飛び上がり、俺の顔を凝視する。その顔は青ざめ、汗が浮かぶ。 そこまでの恐怖を感じるほどの何かを隠している風に、俺の感情が揺らぎ出す。 「おい、俺を怒らせたいのか?風、言わないなら…分かるよな?」 ぎらりといつもは隠している牙を風に見せつけると、風がひっと悲鳴を上げてガクガクと震え出した。 それでも言えないと言うように首を横に振る。 「おい!本気で俺を怒らせる気か?風!…分かった。そっちが言わないって言うなら、こっちは言わせるまでだ。覚悟しろよ?風…」 必死に逃げようとする風の足を片方の手で掴むと、引っ張ってうつ伏せに寝かせる。 じたばたする足を無視してズボンの中に手を突っ込むと、身体と同じように震えている小さく丸いしっぽを握り、もう片方の手で風の股間の根元をぎゅうっと掴む。 「ひぃぁあああああっ!さわら…ないでぇえええええ!しっぽ、ダメ…だめぇ!」 下半身を裸にして、しっぽを口に含むと風の身体が大きく仰け反り、イきそうになるのを俺の手がその根元をしっかりと握っているので出すことは出来ず、涙でぐちゃぐちゃになった顔で俺にイかせて欲しいと懇願する。 「だったら、言えよ。何を隠しているのか、言えよ。」 握る手に力が入り、口に入れたしっぽを甘噛みする。 しっぽは風の性感帯でも有り、急所でもある。そこを口に入れられ、いつ噛み千切られるかもわからない恐怖と、快楽に風の身体が震える。 それでも何も言おうとしない風に、ついにサイドテーブルの引き出しの中に隠しておいたガラス瓶を使う決心をして、そっと取り出した。 かちゃんと蓋を開ける音にいつもは隠している風の耳がピクンと反応する。 目がこちらを向き、俺の手の中にある瓶を見て顔色が青から白に変わり、全身が痙攣し、逃げようと身を捩るものの恐怖の為か手足はバタつくだけで一歩も動くことはできない。 「風、最後のチャンスだ…言え!」 「…すけっ…て…助け…て。それはイヤ…雷、イヤです…助けてく…ださ…い…雷!雷ぃ!ヤダ!イヤだ!やぁあああああああっ!」 頭を必死に振って、瓶の中身をかがないようにする風の頭を掴んで瓶を近付けると、今度は息を止めた。それでもじっとそのままで待つと、風の白かった顔が赤くなり、ついに苦しさに自ら息を大きく吸う。瞬間、瓶の中身を勢いよく吸った風の身体から力が抜け、俺が手を離してもピクピクと四肢の先が動くほど。 かろうじて動く口は俺に謝罪とイヤだと言う言葉を繰り返すのみ。 「ここまでされても、言わないのか…風。お前、何をされた?村で、何をされたんだ?」 それでも、涙を流して同じように繰り返す口を布でムリヤリ塞いだ。 「お前の悲鳴で陸や水が驚いて入ってきたら困るからな…そろそろ、こっちにも効いてきたか?」 一連の事で落ち着いていた風の下半身に触れると、もういつでも放てるほどに膨らんでいるのが分かった。

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