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雨降って…-4

「キスは?」 雷が顔を近付けながら尋ねると、波はクスッと笑いながら自分の顔を雷に近付けてくる。 「寧ろ、雷こそ風がいるのにいいの?」 「あいつは俺よりもそっちの村を取ったんだ…今更、関係ねぇよ。」 一瞬止まった雷の頭を波の手が抱えて抱き寄せる。 「雷…僕を好きにして…」 囁く甘い声に、雷がフッと笑う。 「壊れても、文句言うなよ!」 そう言うと、二人の唇が互いの吐き出す息以外吸うもののないほどに近付き、ついに雷が舌を出しながら、少し開いた波の口の中へと吸い込まれていく…瞬間、今までにないほどの大きな音と衝撃で扉が開いた。 その音と衝撃に、それでも驚く事なく何事もないかのように雷が少しだけ顔を横に向ける。 雷の視線の先には、兎の村に行ったはずの風が、顔を真っ赤にして立ちすくんでいた。 「風、閉めろよ。」 冷たい声でそれだけ言うと、風に向けていた顔を戻し、雷の舌が波の首をぺろっと舐めた。 「え?!」 舐められたところを手で隠す波に、雷がその手をどかしながら囁いた。 「悪りぃ…マジで暴走しそうなんだわ…」 今までは焦りの色すらもなかった波の顔がその言葉を聞き一気に青ざめ、雷の下から這い出ようとするが、兎の波が狼の、しかも金狼である雷に力で勝てるわけもなく、ただ身を捩るのが精一杯だった。 「風!!」 服を剥ぎ取られそうになるのを必死に抵抗しながら絶叫のような声で波が風の名を呼ぶ。 突如パタンと扉が閉まり、衣ずれの音がすると同時に、雷の鼻に甘くて官能的な香りが漂い、我慢できずにその出所に鼻を向ける。 「雷…僕だよ…雷…」 そこには扉を背にして、全てを脱ぎ去った風がいた。 「風!何をっ?!」 波の声にすぐさま風がしっと唇に指をつけた。 「雷、僕の匂いが分かる?雷と僕にしかわからないこの匂い。もっと近付いて、たくさん嗅ぎたいでしょ?雷…来て。」 そう言って両手を胸の前で広げた風に、我慢できずに雷がベッドから飛び降りる。 「波、外に!」 ベッド横にある窓を風が指でさし、それに波が頷くと、外から波さん、早く!と自分を呼ぶ声が聞こえる。 窓を開き、一瞬で兎の姿になった波が自分の服を外で待機している陸に向かって落とし、雷に襲われて床に倒れ込んだ風に一瞬目を向けると、風も自分をじっと見つめ、ゆっくりと瞬きをする。それを見た波も風に頷くと窓から飛び出して行った。

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