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雨降って…-7
「まるで、嵐のようだったな。」
夜になって、2人きりの部屋でベッドの上で上半身を起こしている雷が、昼間のことを思い出しながら風に声をかけた。
「本当に、大嵐だったね。」
くすくすと笑いながら、風が寝る準備をする。
さすがに昨夜、あれだけ風の身体を酷くしてしまったと後悔している雷は、その姿に少しムラムラとしたものを感じながらも、我慢我慢と自分を律していた。
「昨夜は、悪かったな。」
少し動きの鈍い風に尋ねると、大丈夫だよと笑顔が返ってきた。
「そっか…」
それ以上、何かを言うでもなくベッドにゴロンと横になった雷に、おかしさが込み上げてくる。
無理な我慢して…
そう思いながら、そうしてくれる雷を愛しいと想う感情が溢れ出してくる。
パチンと電気を消してベッドに潜り込むと、いつもはすぐにこちらを向いて腕を伸ばしてくる雷の、まるで風を拒否するかのように反対に向けた背中をぎゅっと抱きしめた。
ビクッと雷の身体が揺れる。
我慢してるんだから触るなよという雷の無言の圧力を分かっていながら、風が自らの手でそれを破ったと言う意味を雷が悶々と考えているのが風には手にとるように分かる。
「雷、僕は本当に雷と一緒にいられて幸せだよ。どんなに酷くされても、雷の底にはいつだって僕への愛がある。だから、雷は僕に対して後悔も我慢もしないで?僕も雷にしてもらえるの、大好きなんだから…」
「風っ!」
ガバッと雷の体が風に向き直り抱き寄せる。
「そう言う、俺のせっかくの我慢を無にさせるようなこと言うなよ…いつだってお前に無理ばかりさせて…だから今日くらいはって…」
「ふふふ。だってずっとソワソワして、もぞもぞしてる雷を見てたら、可愛いし可哀想だしで、ちょっと意地悪したくなっちゃった。」
雷の腕と胸の間を縫うようにして風が顔を出す。
「大丈夫なのかよ?」
「雷のこと信じてるから…大丈夫。」
雷の顔が近付き、風が瞼を閉じる。二人の唇が合わさり、雷の舌が風の首筋を下りていく。
昨夜、雷の付けた噛み跡に舌が触れるとピリッとした痛みに風がびくんと身体を揺らした。
「雷、そこ…」
「痛むか?」
「そこにずっと噛み跡を付けて…僕が雷のだって分かるように、ずっと噛み続けて…」
「風?」
「もし、噛み続けられなくなった時には…僕を雷の一部にして欲しい。僕を残してどこにも行かないで!僕は雷のモノだから…だから絶対に僕を残して逝かないで…お願いだから…そうなった時には、どうか…僕を…食べてね…」
「あぁ、それまではずっとこの身体に俺の獲物だって噛み跡を付け続けてやるよ。お前のその最期の瞬間、最高にイってる中でお前の事を喰ってやるから、今から楽しみにしとくんだな!」
「うん!」
幸せそうに頷く風の首に雷の牙が静かに食い込んでいった。
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