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風と月-1
世の中にはお話ではたくさん出て来るような事が、本当に起こる事ってあるんだなぁ。
僕の身に起きた不思議な出来事を思い出しながら、隣ですやすやと眠る雷の胸に顔を埋めると、寝ているにも関わらずに雷の手が無意識に僕を抱き寄せた。
あの時とは違う、太陽の暖かい匂いに包まれる。
雷…僕の雷…そして…
月の冷たい匂いのした雷を思い出すと、ちくっと心が傷んだ。
もう、思い出さない。忘れる。
僕の雷は太陽の雷だけだから。
「さよなら、月の雷。」
悲しそうな瞳が一瞬頭をよぎるが、何も言わずに背を向けて、闇の中にその姿を消した。
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