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風と月-4
獣道のような所から段々とそれもない木々の生い茂った所を走り抜ける雷のスピードが速すぎて、ぶつかりそうになる木々に、恐怖からギュッと目をつぶって雷の服を掴んで胸に顔を埋める。
「あと少し、そうしていな。」
ふわっと雷の大きくて分厚い手が僕の頭を覆う。それはとてつもなく気持ち良くて、僕の全てを委ねられる程の安心感をくれる。
「うん。」
そう言って雷の胸に顔を擦り付ける。
ん?雷の体っていつもは隣にいる僕までその熱で汗をかきそうなくらい暖かいんだけどなぁ?
こんなに走っているのに、その熱が伝わって来ない。
おかしいな…
しかし、頭をくしゃっと撫でられて、その安心感からか僕はいつの間にか寝てしまっていた。
数分、数十分、いや数時間経ったのだろうか?ふと目を開けると、炎の揺らめきに照らされた雷の視線とぶつかった。
「え?雷?!」
驚いて起きあがろうとする僕の胸に雷が手を置いてそれを止めた。
その手の感触、空気が肌に触れている状況から、自分が何も身に着けていない事が分かる。
そしてどこかわからない、外の光の一切入ってこない部屋に、一つだけ心許なく揺れるランプの灯り。
それが雷の僕と同じように何も身につけていない体を照らし出す。
「雷、ここはどこ?」
寝たままで首を捻って見回すが、かなり広い部屋だと言うこと以外分からない。
「俺の隠れ家の一つだ。」
そう言って雷の顔が僕の顔に近付いて来る。
「今は誰もいないからな、どんなに大きい声を出しても平気だぞ。」
そう言って唇を合わせる。
「バカ…ああ…雷ぃ。」
開いた口にぬるっと入ってくる雷の舌に僕の舌が絡め取られ、すぐにくちゅくちゅと僕の身体を火照らす音がして来る。
「はぁあああ!雷ぃ…っもちいいよぉ…もっとちょうだい…んんぁああっ!」
「風、可愛いよ…もっと俺にこの身体を食べさせてくれ…いいか?」
「僕の全部は雷のモノだから…いいよぉ!」
雷の舌が首筋を這い、僕の胸の突起を口に含む。それを舌で転がされながら指がもう片方の乳首をきゅっと摘んだ。
「んぁあっ!」
我慢できずに声がもれる。
「我慢しなくていいんだよ、風。もっともっと声を聞かせて。」
口の中の乳首の先を舌先で虐める雷に、腰がビクンと跳ねて声が部屋に響く。
「あああああああああっ!雷ぃ!くぅんんぁあああっ!」
雷の頭を抱え込む僕の顔を意地悪く覗きこんだ雷の舌がもっと激しくなり、指で弾かれ、先を爪でくすぐられて、僕はそれだけでイくのを我慢する事ができず…
「やぁああああああ!雷ぃ、イっちゃうからぁ、だめぇええええ!あ…ぁああああああっ!!」
大きく頭を振って腰を痙攣させた。
「風が俺を感じてイってくれるの、すごく嬉しいよ…だから、俺にもっともっと風が感じている姿を見せて?そして可愛く喘ぐ声を聞かせて?」
そう言って雷の手が下半身に伸び、頭も下がっていくと、今イったばかりの性器を雷が口に含んだ。
だが、いつもは熱いほどの雷の口の中が、今はむしろ冷たく感じて驚いて声が出た。
「ひゃぁあっ!」
「どうした?」
心配そうな顔の雷になんか冷たくてと言うと、冷たい物を飲んだからかもなと言って、イヤか?と尋ねて来る。
「ううん。びっくりしただけだから大丈夫…ねぇ、続き…して…」
シュンとした顔の雷を見て、いつもよりも積極的に雷を誘う。
「風…どうして欲しい?」
ちょっと積極的にするとすぐに雷は僕を虐めるんだ…いつもは恥ずかしさに口をつぐんでしまう僕だけど、でも今日は…
「僕のを雷に咥えて欲しい…雷の口の中で僕を可愛がって?」
驚いた顔の雷に、ふふふと笑うと雷がはははと僕以上の声で笑う。
「今日の風はまるで淫魔のように俺を誘惑するんだな…いいよ、風。俺がお前を満足させてやるよ。」
唇を舌で舐める雷を見て、ぞくんと腰が疼き、雷の口が僕を咥え込むとそれが震えた。
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