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風鈴-3
リビングから漏れ出る水と陸の声を聞きながら、雷が風の耳に囁いた。
「スタミナ抜群の夕飯の効果がよく分かるな。」
「もうっ!そんなつもりは…少しはあったけど…雷が早く作れって言うから、残り物で作ったらああなっちゃっただけだし…雷の意地悪っ!」
ぷうっと頬を膨らまして、雷のそばを離れるように走り出そうとする風の腕を捕まえた雷が、軽々とその腕に風を抱き上げるとそのまま部屋に入り、足で扉を閉めてベッドに風を放り投げた。
「なぁ、自分で服脱いで?」
いつもは雷が風の知らぬ間に服を脱がせてしまうので、改めて雷の視線がじっと自分を見つめる前で服を脱ぐと言うだけの行為なのに風の身体が恥ずかしさで熱くなる。
「え?僕が自分で?」
雷が無言で頷き、早くとでも言うように顎をしゃくる。
風は倒れた体を起こしつつも、その視線から逃れるように顔はベッドを見つめたまま。
「いつも俺の前で服の着替えしているだろう?」
なんて事のないように雷が自分の服を脱いでほら?と風に服を差し出す。
「脱げばいいんだ、簡単な事だろう?」
「そう…だけど…。」
風の声が震える。
「これからエッチなことしますって、誘うって言うか、ヤる気満々って感じがしちゃって…なんか恥ずかしい。」
ふーんと雷が持っていた服を投げ捨て、下半身も全て裸になるとベッドに近付いた。
「俺はヤる気満々だからさ…夕飯のお陰もあるのか、ここももうバッチリ準備できてるってさ。」
そう言って自分の下半身を指し示す。確かに既に身体の中心で天に向かってそそり勃つ雷の性器に無意識に風の喉が鳴った。
「脱げないって言うなら…そうだな…このままヤるか?」
その言葉に顔を上げ、意味がわからないと言うような目で見つめる風に、雷の手が伸びる。
チリン
鈴の音に風の身体がビクッと反応する。
「ほら、動くなよ?」
そう言って、自分の首に動物用の首輪が付けられ、まるで自分が雷の所有物、いやペットのように思う。
「やっぱりなんかこれ…嫌だな。」
首輪と首の間に指を入れてクイっと動かすと、雷の手がその指を掴んでそのまま押し倒した。
「え?本当に着たままで?」
「あぁ。こうやってさ服の上から擦られると、いつもとは違う刺激でいいだろ?」
確かに素肌と服の上からでは受ける刺激が違う。少し強めに擦られても、服が間にある事で痛みも緩和されるような気がして、風は少しホッとしていた。
これなら、思ったよりも怖いことにはならないかも…
半分はホッとしながらも、もう半分の期待外れにガッカリしている自分に苦笑する。
チリン
ただ、体が刺激に反応する度に鳴る鈴の音が、そこが気持ち良いんだと雷に伝えているように聞こえて、恥ずかしさに我慢出来ず、鈴を止めるように風が握った。
「おい、それじゃあ意味がないだろ?離せよ…」
風の手を雷の手が外すと、風が囁くように呟いた。
「雷の意地悪。」
「意地悪じゃねぇよ。鈴の音を聞かせてくれって言って、お前の首に付けたんだぞ。聞こえないように握る風の方が意地悪だろう?」
「だって…やっぱり…恥ずかし…っやぁあああああっ!雷!それは…んんっ!」
雷が風のズボンを下げて下着の上から
風の足の間に顔を埋めると、硬くなっている性器を口に含む。
布越しに感じる雷の息の熱さが風の身体も熱くしていく。
雷の指が下着の上から後ろの穴に入るが、余裕のない布がピンと張って股間をきゅうっと握りつぶすような痛みに風の口から苦しげな声が絞り出された。
「くぅうううっ!ぃ…ったい!いた…い!!」
「痛いって言ってる割には、萎えねぇんだな?」
そう言ってニヤニヤ笑う雷に、やっぱりこんな事やめておけば良かったと風が後悔するが、雷の指が出入りするたびに風の性器が布と擦れ、その刺激がもたらす快楽に後悔すらも頭から消え去っていく。
「やぁああああっ!擦れ…ぁあああっ!擦れちゃっ…だめぇ!」
「俺の唾液だけじゃねぇよな?下着の前、そんなにびしょびしょにして…何を漏らしたんだ?ん?」
そう言いながら後ろの指を増やして激しく動かす。
チリチリチリチリン
鈴もそれに合わさるように可愛い音の中に金属の少しうるささが増す。
扉の外にも聞こえそうな大きな音に風が恥ずかしさから再び鈴を握ろうとする。
「だから、だめだって言ってるだろう?何度言ってもわからないなら、この手をベッドに繋ぐぞ?」
その言葉に風の手が鈴から離れた瞬間、雷がまたも指を激しくして鈴を鳴らす。
「いやぁあああああっ!も!擦れ…っちゃう!イっちゃうぅんんんあーーーーーっ!!」
雷の手に握られた風の手に力が入り、びくんびくんとおおきく腰が跳ねると、下着が吸い切れなかった体液が滴り落ちてシーツを濡らしていく。
「あーあ。漏らしちまったな。そんなに擦られるの気持ちよかったのか?じゃあ、俺もその気持ちよかったやつ分けてもらおうかな?」
そう言って風の体内に入っていた指を抜くと、下着はそのままで、端から自分の性器を潜らせて散々に解した穴にぬぷっと先端を当てる。
「ひあっ!雷、やめっ!イったば…っかなの…ぁあああああああああっ!」
「あぁ!すげぇよ!風の中がまだキュンキュンしてて、くぁっ!やべぇ!俺もすぐにイきそうだ!風!イっていいか?!」
「はぁあああああっ!!雷ぃいいいいいっ!また擦れ…ダメェ!気持ち…いいいいっ!!もっとぉ!もっと擦ってぇ!」
風の言葉に煽られた雷が下着の端を手繰り寄せ、上に向かって引っ張り、上下に動かした。
キツかった下着をもっとキツくされて、痛みに風の目から涙が溢れ出すが、その痛みすらも快感に変わり、風の口はだらしなく開き、喘ぎ声と涎まみれになる。
「あぁあああああっ!あぁあっ!いいぃああああああっ!!!」
鈴も風の首で激しく揺れ、音は激しい金属音に変わっていた。
「風!もう俺もイく…イくぞ!いいか?!お前の中に…このまま出して、いいか?」
「いい!いいよぉ!!もっと奥ぅ!奥に雷のあっついの、頂戴!!」
「ふうぅうううううっ!」
雷が腰を激しく打ちつけ、ウゥッと唸り声を上げて腰を震わせた。
その震えが身体中を走り、風の身体に伝わる。それと共に雷で熱くなっていく身体の内。幸せと快楽に風もまた雷と共に果てるが、下着で押さえつけられたせいで、白い液体が四方八方に飛び散り、二人の身体にもかかった。
「スゲェ!風、お前も俺もベタベタだな!」
ゲラゲラと笑う雷に、風は荒い呼吸を繰り返しながら、着ている服についた自身の体液に触れる。
「もう、着れないよぉ…」
洗えば汚れも匂いも取れるが、染み付いた思い出は消えることはない。着れば今夜の事を思い出して体を1日熱くさせてしまうだろうから絶対に着られないよなぁと思いながらため息をつく風に、雷が仕方ないなと手伝って服を脱がせる。
「結局は俺が脱がせてるしな…服をダメにされたくなかったら、今度は自分で脱げよ?」
「雷の…意地悪…」
「さてと…風の出す鈴の音、俺もっと聞きたいんだけど、いいか?」
「腰…んっ!動かしな…あああっ!がら、きかないっ…はぁあああっ!でよ!」
「夏の終わりに、風の鳴らす鈴の音を聞きながらって、なかなかいいもんだな!またやろうぜ!」
「…ばか…」
風の言葉をかき消した鈴の音はその晩、鳴り止むことはなかった。
(終)
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