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水の不満−3

部屋に入るとすぐにそれと分かる匂い。顔をしかめて窓を少し開けると、秋に近付いている冷たい夜風が部屋の篭った空気を押し出していく。ソファの下に落ちているティッシュを拾い集めて、キッチンの横にある扉から外にあるゴミ箱に捨ててリビングに戻ると、陸がぼんやりとした顔でソファの上に起き上がりこちらを見ていた。 「あ、起きたなら部屋で寝たら?そんな格好でいたら…風邪引くよ。」 じゃあと言ってリビングから出ようとする僕の後ろから急に手が伸びて首にかかる。 一瞬止まりそうになった息。 苦情を言う間もなく引きずられて、ソファに投げ飛ばされるように押し倒された。 「何をっ!」 「…っるせぇ…」 いつもの陸とは違う凄みのある声と射るような視線に僕の体が固まる。 「水、俺のこと…いや…あぁ、くそっ!」 俺に跨った陸が普段は見せない苦しげな表情で俺を見つめる。 その顔が急にオスのそれに変わり舌なめずりした。 「なぁ、させろよ…いいだろう?」 パジャマの上着の下から陸の冷たい手が素肌に触れる。 「っ!」 両手で口を塞ぎ、声が漏れないように必死で我慢する。 怖い!こんな陸なんて知らない!嫌だ、嫌だ、嫌だぁあああああああ! 体を反転してソファから落ちるように逃げようとした僕の足を掴んだ陸が、上半身が床に落ちたままの僕の下半身を露出させて、いきなり腰を押し付けてきた。 「やめっ!いきなりなんて無理だよ!やだっ!陸、やめてよ!やめ…っああああああああああ!」 ギチギチという皮膚が裂けるような痛みと共に、全く解されていない硬い穴に、陸のそそり立ったモノが一気に押し込まれていく。 「どう…せ、俺のことを嫌って…いるんだか…ら、何やったって、いい…だろうっ!」 陸の言葉にドキッとした心と、ビクッとした身体が同時に反応して、陸が入れたと同時に僕は部屋を再び雄の匂いで充満させてしまった。 「なんだ、水はこういうのが好きなんだ?痛くて苦しいの…水は好きなんだ?」 にやにやと笑った陸の言葉に顔が真っ赤になるが、それを否定する間も無く陸の腰が激しく動き出す。 「ひあっ!やめっ!やだぁあああああああ!あぁっ!はぁっ…あぁっ!もっ!ま…ってぇ!」 頭が床に擦り付けられ、上から押しつぶされる外からの圧迫感と、奥まで押し込まれて抉り突かれている体内の圧迫感に、苦しくて意識が飛びそうになる。 「や…っめ…り…く…」 瞬間、バタンと扉が開く音がして目の前が暗くなっていく僕のかすみゆく瞳に雷の必死な顔が映り、助けを求めるように伸ばしかけた手は、力が抜けてパタンと床に落ちた。 「水!」 聞こえた風の声。 ごめんね、雷に愛されている風に嫉妬して嫌な態度ばかり取って、ごめんね風。 「ご…めん…」 つぶやくように言った言葉と共に僕の意識も消え去った。

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