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結婚式-7

「おい!これはどう言うことだ?!」 テントの中に押し込まれて両脇にいた二人が俺から離れると、静もテントの中に入って来た。 「こちらにお着替えを。あまり時間もありませんので、お早めにお願いします。」 「俺の問いに答えろよ!」 大声を出す俺を無視して、静が部下の男達に視線を送る。 「失礼。」 男達に羽織っていたマントを脱がされ、その上から薄くて白い布を巻かれていく。 この布の話、どこかで聞いたような… 自分の体の脇にある紐を男の手が結んでいく。 着せられたと言うか巻かれた自分の体を見ると、前に風が話していた結婚式の衣装、しかも相手の家に行く方の白くて薄い布の衣装だと言うことが理解できた。 確かに風の言っていた通り、白い刺繍やら宝石やらで飾り付けられていて煌びやかで豪華だ。だが、透けていると言った風が言葉を間違えたんじゃないかと思うくらい丸見え、薄すぎて裸体を隠しようがない。 どうして俺がこんなのを着なきゃいけないんだ? 恥ずかしさと怒りから、静を威嚇するように大声を出した。 「おい!静、いい加減にしろよ!こんなの何で着なきゃいけないんだ?しかもこの俺が!」 噛み付くような勢いの俺に、さすがに兎とは思えぬガタイのいい男達も一瞬怯んで、一歩俺から離れた。 だが、静は逆に俺に近付いて、ふっと笑うと俺の胸に指を差して言った。 「よくお似合いですよ?こちらも、流石に金狼とでも言うべきでしょうか?」 何を言っているんだ?と静を見ると、静の視線が俺の下半身に向かっているのがわかり、ふざけるなと静の指を払った。 「静様!」 数人の男が俺の腕をひねり上げようと近付くのを、体をひねって避けながら静に近付き、背後に回って顎下に腕を入れた。 「動くな!こいつの首を絞めるぞ!」 俺の動きに男達が唸りを上げてこちらを睨んでくる。 「雷様、お戯はその辺にしていただけますか?そろそろあちらの準備も整ったようですので。」 「…っざけるな!こんな茶番に付き合う気はねぇよ!俺はさっさとこんなものは脱いで帰らせてもらうからな!」 そう言って静から離れようとした途端に静に当てていた手がいきなりぐいっと引っ張られ、俺はいつの間にか静の胸に抱かれ、腕を背中で拘束されていた。 「茶番ではありませんよ?これは夏様からの命令です。あなたに拒否権はありません。それと、プロに勝とうなんて流石に甘いですよ?雷様。」 俺の耳に囁く静の声に、ブルっと体が震える。 「何する気だ?俺を犯そうとでも?」 静の迫力に負けそうになる気持ちを押しやって軽口を叩いた。 「金狼を?!そんな命知らずなことはしませんよ。ただ、風様の願いを叶えたいと言うご兄弟からの雷様へのお願いです。どうかしばらくはそのままで。」 「お願い…ねぇ?拒否権のない願い事か…勝手だな。」 イラッとしながら、離せよと静に拘束されている腕を振る。 「お嫌ですか?私は結構抱き心地も良いですし、お衣装から透けて見える体にも興味はあるんですけれど…」 体の底から嫌悪感が湧き上がり、ゾワっと身震いする。 「おい!気持ち悪い事を言うんじゃねぇよ!大体、お前は波と結婚したばかりだろうが?!」 静の眉がピクッと動いて部下達に顎をしゃくって合図を送る。すぐさま男達がテントから出て行って、静かになった空間に二人きりとなった。 「何してんだ?!」 「いえ、さすがに兎に抱かれるところを他の者には見られたくないのではと言う配慮です。」 「マジで殺すぞ!」 「ふふっ…それでは殺される前に済ませてしまわないと…」 静の手がぐっと俺の手首を掴み上げてそのまま置いてあった箱に、俺の上半身を押し付けてうつ伏せにした。 「おい!?これ以上するなら金狼化するぞ…」 ううと言う唸り声と共にきっと静を睨みつけた。 「それはさすがに勝ちようがありませんね。でも、諦める代わりに…失礼。」 いきなり静の手が布の紐の間から入り込んで下半身に手を伸ばしてきた。 「おい!?やめ…っろ!」 いきなりの事に体がうまく動かず、いいように扱かれて足が震える。握った時の力強さとは思いもかけないほどのソフトタッチで、リズム良く俺の股間の反応を楽しむように手を動かし続ける静に、あろうことかイかされそうになって声を上げた。 「出…っちまう…から…っなせ!!」 俺の言葉にいきなり静の手が根元を握り、扱いていた手を止める。 「さて、これで準備は終わりです。おい!お連れしろ!」 静が突然体を離して外に向かって大声を出すと、出て行った男達がテントの中に再び戻ってきて、俺を取り囲んだ。 いきなり扱かれた挙句、ギリギリのところで止められた俺は怒りと悔しさで真っ赤になって静に向かって大声を出していた。 「はぁ?!待てよ!これで皆のところへ行けって言うのか?!」 透けた布を持ち上げている下半身を見て、俺が静に怒鳴り散らすが静はそれがしきたりですと言って部下達に頷いた。 俺の周囲にいる男達の目が無遠慮に俺の下半身に注がれ、その肩が震えている。 「どけよ!どけ!」 俺の怒鳴り声を無視して静が連れて行けとでも言うように頭を外に向かって振った。 「はっ!」 笑っていた男達がざっと寄って来て俺の体を神輿のように持ち上げると、静をテントに残して外に出る。そのまま家の扉をついて来た男がノックすると中からやはり兎の者が扉を大きく開いて俺たちを中に招き入れた。そのままリビングの扉の前に向かっていくが、さすがにこんな姿を陸や水、特に風には見られたくなくて体を動かして抵抗する。 「下ろせ!!おい!!俺を下ろせ!!!」 そこに陸と水の部屋の扉が開いて、俺と同じような布を纏った波が出て来た。 「ふふ。衣装、気に入ってくれた?僕のとお揃いだよ?やっぱりすごいな、金狼のは。」 波の目が俺の下半身を見つめて喉を鳴らす。俺が文句を言おうと口を開きかけたが、ふと視線を落とすと波の下半身も布を持ち上げているのがわかり、言葉を飲み込んだ。 「これもしきたりなんだ。ちょっと辛いけど、すぐに静に楽にしてもらえるから…雷は風で楽になれるから我慢…ね?雷、僕たち兄弟と風の願いを叶えて欲しい。お願いします。」 そう言って辛そうな顔で微笑みながらペコリと頭を下げた。波のいつもとは違う真剣な姿に俺は抵抗するのを忘れてどう言うことだ?と男達に担がれたままで尋ねていた。 「それは風から直接聞いてよ…今はさ、静かにここで待って…あ、向こうの用意もできたみたいだ。さぁ!雷、僕と一緒に行こう!」 波の後ろで待機していた数人の男達が波を持ち上げて、俺と同じように担ぐと、ゆっくりと歩き始めてリビングの扉を開けた。

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