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里帰り-5
「お前達!!俺を無視するな!!おい!桐!!」
真っ赤な顔で今にも頭から湯気を出しそうな勢いで怒りまくる光を、扉の後ろに隠れていた陸と水がひょこっと顔を出してその形相を見てから、今度は二人顔を見合わせて吹き出した。
「水は本当にあれが怖かったの?」
陸が笑いながら水に尋ねる。水は涙を拭いながらねぇ?何でだろう?と首を傾げた。
「なんかさ、雷と雰囲気が似てるからなのかな?雷が子供に戻ったみたいに怒ってるの見てるみたいで……ヤバい!腹痛い。」
「もう!陸、言わないでよ!せっかく落ち着いてたのに……おかしいのが……また……!!」
そう言って今度は二人して床に座り込んで、ゲラゲラと笑っている。
「わ……笑うな!!」
光の大声が部屋に轟くが、俺の大声をいつも聞いているこいつらにはまったくききはしない。
むしろ……
風と二人で顔を見合わせて大きなため息をつく。あいつらにそれは火に油だって。
風の目が俺と同じことを思っているのが分かる。
何とか黙らそうとする光の怒鳴り声と比例して大きくなる陸と水の笑い声に、さすがに光が不憫になり助け舟を出すために口を開いた。
「おい、お前ら……いい加減にしとけ。」
頭だけ二人に向けて少しドスをきかせるが、二人して俺と光の顔を指差してそっくりだぁ!と再びゲラゲラと笑い出す始末。
俺では手に負えそうもないと風に向かって首を傾げると、クスッと笑い仕方ないなと言いながら二人の元に歩いて行く。
「はい、終わり!二人共、これから雷が大事な話するから、静かにして?」
パチンと風が手を叩くと今まで笑っていたのが嘘のように二人が静かになった。
ああなったら俺ではどうにもできないが、何故か二人とも風の言うことだけはどんな状態でも状況でも素直に聞きやがる。
チッと舌打ちをしてから光に向き合うと、キョトンとした顔で俺を見てから、今度は光が盛大に噴き出した。
「はぁあああ!?おい!!っざけるなよ!!光っ!!笑ってんじゃんねぇ!!」
クククと背中からも声が聞こえ振り返ると、桐までもが項垂れたままで肩を震わせている。
「おい!!笑うなって言ってるだろうがっ!!」
二人の笑い声につられるように風達も笑い出す。部屋を満たしていく笑い声に俺の大声は消し去られていった。
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