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第11話

登校時間。 黒塗りの車が、静かに西園寺高校の正門前へと停まった。 運転手が降り、後部座席のドアを開ける。 「いってらっしゃいませ、良様」 「行ってきます」 良は車から降りると、校門をくぐった。 教室に着くと、自分の鞄を机の脇に置き、 小さく息を吐いた。 ――そのとき。 「柳瀬」 聞き慣れた声が、背後から届いた。 「……!」 慌てて振り返る。 そこには、七条が立っていた。 「お、おはよう、七条」 「おはよう」 七条は穏やかに笑った。 そして、良の顔を見ると、ふっと表情を変える。 「それで、今日の気分は?」 そう言いながら、七条の手が良の頬へと伸びる。 「昨日は疲れていただろう。ちゃんと眠れたのか?」 「…………」 その言葉に、昨夜の夢が鮮明に蘇った。 ――『俺は、お前が好きだ』 「……っ」 良の心臓が、大きく跳ねる。 「す、すこぶる元気だ!」 慌てて一歩後ずさり、伸ばされた手を避ける。 「そうか? それは良かった」 挙動不審な良を、七条は少し不思議そうな顔で見つめた。

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