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第4話

病院を出ると、そこには見慣れない高級車。 俺でも知ってる、ベンツだ。 「おい、兄ちゃん」 超ガラの悪い男が誰かに声をかける。 「てめぇ、無視してんじゃねぇよゴラァ!!」 「え?」 なんと超ガラの悪い男に目をつけられたのは俺だったのである。 「昨日はよくもまぁこのベンツ傷物にしてくれたなぁ、おい?」 「は、、話が見えないんですが、、、」 よくよく話を聞くと、俺が昨日ぶつかったのはこのベンツで、しかもぶつかった際に大きく車体が(へこ)んだそうだ。 俺は弁償代として破格の100万を請求され、路頭に迷った末、今いるのは金融業のオフィス前。 正直、今俺は頭がついて行ってない。 *** 「ーーーで、両親もおらん。親戚もおらん。おまけに両親の保険金ももうなくなるって?自分、100万どうするつもりやねん?」 スキンヘッドでトゲトゲがたくさんついてるおじさんにメンチを切られ、もう涙が出そうである。 「すみません。100万働いて返すんで、時間ください。」 「無理に決まっとろーが。1週間や、1週間だけ待ったる。」 「いや、そんな、無理です、1週間なんて…」 もう目から涙が溢れる寸前、オフィスのドアが開いて、金髪のイケメンがニコニコと登場した。 「ね、君。100万肩代わりしてあげる!」 マジ………?? 今の俺にとってはものすごい誘惑。 ただ、絶対。 こういうものには絶対に裏があるのだ。 「俺の店で働いてくれないかな?? 君なら絶対成功するから!」 もう頼れるあてのない俺は、そこで頷くことしかできなかった。 *** 「…………SMクラブ。………ル、、??」 「『Rouge(ル-ジュ)』だよ。君がこれから働くお店。」 目の前には豪華なホテルのような外装で、安っちいピカピカと光るネオンは一切ない。 「俺、19なんで、未成年なんすけど。」 俺は風俗で働く気はこれっぽっちもない。 ましてや、Mっ気もサラサラない。 「大丈夫。それは俺がうまく隠すよ。君、Ωでしょ?今、Ωのキャスト探してて…。君とっても美人だし、絶対売れるよ!」 「いや、女の方が需要あるでしょ。ていうか、なんで俺がΩだって、、、、」 「君が発情して倒れたって情報、流れてきたんだよね。そしたら丁度100万なんて大金請求されて困ってたし、これは神様が俺に味方したかな〜!なんて? 発情期のΩはすごく締まりが良くて人気なんだよね。君も気持ちよくなれるし、一石二鳥じゃない?」 ──全くもって意味がわからない。 俺は今まで発情期は抑制剤で止めてきたし、抱かれるとか抱くとかそういう性的なことは考えたことは、、、 いや、そりゃ、男だし、自慰とかはするけど。 「すみません。俺やっぱり無理です。100万絶対返すんで、これだけは勘弁してください。」 「え〜?んじゃ、力尽くかな。」 「は?!え?!」 視界が急に暗くなり、意識がフワッとそこで途絶えた。

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