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第6話
あれからの記憶はない。
ただ発情してないってことは、多分抑制剤を飲ませてくれたってことだと思う。
精液も綺麗に拭き取られ、ベッドのシーツも変えられ、ただ俺だけはベッドの上に繋がれたままだ。
「紫音くん〜!おはよ!さっきは超気持ちよかったよ!今までのΩのキャストよりも顔も後ろの締まりも断然イイ!!このままここで働いてよ!100万くらいあっという間に稼げるよ!」
金髪が部屋に入ってきて、俺の隣に横になる。
「てめぇ、名前なんなんだよ?」
「俺?俺は佐倉 要。」
「佐倉、俺いつ帰れんの?」
「働くことに同意したらかな〜」
「……脅しじゃねえか。」
──正直、すごく気持ちよかった。
あんな無理矢理犯されて言うようなことじゃないけど、
佐倉の言う「俺も気持ちよくて金も稼げて一石二鳥」ってのはあながち間違いでもない。
100万返すまで。それまでだ。
「佐倉、しばらくだけ。……ちょっとの間ならやってやる。」
今思うと、この時の俺は、どう考えてもおかしかったんだ。
***
「音 、指名入ったよ」
──あれから俺は「音」としてキャストに加わった。
本当にΩの需要は高かったらしく、俺への指名は絶えない。
バイトはやめたが、昼は毎日大学へ行き、夜はこうして音として働いている。
ただ、SMクラブだ。
初めは手錠だけとか軽いものだったが、1ヶ月たった今では鞭やロウソクなど「THE SM」みたいなものまでやられている。
そして、俺が自分で信じたくないことは、発情期じゃないときでも感じるようになってしまったことだ。
***
「……ンッ。音、出すよ。」
こうして、客が俺の中に精液を出せばそれで5万もらえる。
「江尻 さん、俺お風呂はいりたいし、ソープもどう?」
『Rouge』は基本何でもサービスしているらしく、普通のセックスからソープ、中にはキャバクラのような部屋まであるらしい。
ソープなんて、体に泡つけて洗ってやるだけで10万も取れる。
「じゃあお願いしようかな。音の肌は気持ちいいからね。今日も内緒でお小遣いあげちゃおうかな。」
「ん。大好き、江尻さん」
もう気づいてるかもしれないけど、
俺はもう1週間ほどで100万稼いだ。
ここはその辺の風俗とは違って高級らしく、客も金持ちが多くてたくさん出してくれる。
なのに、
なのに俺はこうして働いている。
「あぁ、音。そこ、もう少し擦ってくれるかい?」
「んっ。どう?気持ちイイ?……ァッ」
「いいよ、音。本当にお前は感度がいい。」
「ンッ、ン…。江尻さんっ………チュク……」
──俺は完全に雌になったんだ。
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