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第7話
「音〜!今週も売り上げ1位だね!綺羅 と大差つけてるし!」
綺羅は俺が入る前までNo.1だった風俗嬢だ。
俺が入ってから綺羅の客の3分の1は俺に流れてきたし、俺は新規の客を何人も付けた。
けど、俺が1位になったからって綺羅や他のキャストはあまり怒らない。
なぜなら俺がΩだから。
生殖脳しかないΩは売れて当たり前だと。
そう思っているそうだ。
「あ!誠さん!」
佐倉が珍しく大声をあげた。
その視線の先にいたのは、なんとも威圧的なオーラで、ものすごいフェロモンを放った、かなり顔の整った若い男だった。
「おぅ、要。最近調子はどうだ?」
「音が来てからすごくいい感じです!売り上げ右肩上がりですよ!」
「ふぅん。あいつが…」
そして、その男は俺の方へと距離を詰めて来た。
「音!その人は海堂 誠さん。俺らのトップ、社長だ。」
佐倉にそう言われて、なるほど、と思う。
強い誘引フェロモン、
絶対にαだ。
「音って言うの、君。」
「はい。今日でお世話になって1ヶ月になります。」
「ちょっと、腕見せてもらおうか。」
そう言って、俺も入ったことのないVIPルームに引きずり込まれた。
***
海堂さんがベッドに座る。
ここからは俺の腕の見せ所、ということらしい。
「海堂さん。本日はどうなさいますか?なんでも好きなことおっしゃっ……ンッ」
近づいていくと、腕を引かれいきなり深いキスをされた。
「…ンッ……チュ……ジュルッ…………ハァっ///」
──上手い。
この人、めっちゃくちゃキスが上手い。
「音、おまえ客にやらせっぱなしか?」
「ごめんなさっ…アァンッ!何を…」
「ケツ触っただけで感じ過ぎだ。そんな簡単に喘いでたら客はガッカリするぞ。」
「も、申し訳ありません。」
おかしい。
俺はこんなケツ撫でられただけで感じる体だっただろうか?
──待てよ。
発情期、そろそろじゃなかったか?
「待っ……ァッ…待って!」
「どうした。………ぅっ」
──やっぱり。やっぱりそうだ。
俺の身体からブワッと強烈なフェロモンが漏れ出した。
「おまえ、フェロモンキツすぎないか?」
「そんなこと、、、」
『ない』と言葉を続けようと海堂さんを見ると、
堪え切れないように目をギラギラと光らせていた。
「悪い。」
海堂さんがそう言葉を放った瞬間、
俺はベッドに押し倒され、四つん這いになっていた。
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