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第14話
***
「ちょっとトイレ……」
「おう、気をつけろよ〜」
やべ、飲みすぎた。
おぼつかない足で靴を履き、トイレに向かう。
ドンッ
「すみません」
「いや、大丈夫だ…………、ん?音か?」
「あ……、吉野 さん?!」
吉野さんは俺の固定客で、自分のことを「ご主人様」と呼ばせているあの人だ。
「音、どうしてこんなところにいるんだい?今日店に行ったら昨日付でやめたと聞いたんだが。」
「あ、あの、俺もう店には……ヒッ!!」
「おまえはやっぱり感度がいいね。この私から逃げようとしているのか?もうそんなこと考えないようにお仕置きしてあげよう。おいで、音。」
「ゃ…やめて!」
俺はいとも簡単に個室のトイレに押し込まれてしまった。
***
………チュクッ………ジュポ………ジュルル…………
トイレに艶めかしい水音が響く。
「ん、音、イイよ。もうちょっと奥まで挿れるからね。」
「ンッ!!ンンゥ………グプッ……」
両手で吉野さんのモノの竿を持って咥えているのは、まぁ変なスイッチが入ってしまった俺だ。
「もうちょっと窄 めて。そう、イイね。そろそろイキそうだ。」
吉野さんのモノが口の中で膨らむ。
俺は口を窄めて、沢山の唾液を絡めラストスパートをかけた。
「…クッ……、イくよ、音。受け止めなさい。」
「ンッ」
ゴクッ
俺は大量に吐き出された吉野さんの精液を残さず飲んだ。
「ご主人様……、ご褒美、ご褒美くださっ……」
「あぁ、イイ子だね、音。向こうを向いて、お尻を出しなさい。」
「はいっ、ご主人様のおちんぽ、俺にぶっ刺してくださいっ……」
「ハッ。本当に音は淫乱だね、日に日に俺を喜ばせる方法を身につける。」
もう酔いと快楽で頭が回らない。
目の前の気持ちよさを離さないようにと求め続ける。
俺はなんて惨めなんだろう。
ズズズズズ…
「アっ、アァァアアァァアアン!!きもちっ!ダメッ!ごしゅじ、サマァっ!!」
「こら、そんな大きな声出したら周りに聞こえるぞ。」
「イイ!ソコォ!ソコ突いて!………アァンっっ」
ヌプッ…ヌプッ……
「おまえの中は本当に気持ちいいよ、音。あの店をやめるなら、俺の家にこないか?」
吉野さんは目を細めて俺に欲をぶつける。
──あぁ、気持ちイイ。
俺が沈む意識に身を任せようと力を抜いた時、
「紫音!!!紫音!!!!!」
ドンドンッ
と大きくドアが叩かれた。
「開けますよ!!」
大将の声が聞こえ、ドアが開かれた。
──優。
「てめぇ!!!紫音に何してんだクソジジィ!!!!!!」
優が吉野さんに殴りかかった。
「なにするんだ!私は音が強請ったから!!」
「音って紫音のこといってんのか知らねぇけど、デタラメ言ってっともっかいぶっとばすぞジジィ!!」
優と吉野さんの怒声が聞こえるが、俺はパニックで内容が入ってこない。
──優にみられた。
優に見られてしまった。
俺が絶望に打ちひしがれている間に第三者が割って入ってきた。
「あ、紫音くん見つけた〜。誠さんが探してるよ、帰ろうね。
大将〜、この子達の分、俺持ちでいいから。あと、この件内密にお願い!これ慰謝料と言っちゃなんだけど受け取って。
じゃ、行くよ、紫音くん」
「おい!金髪!紫音を返せよ!!」
「ごめんねー、もう紫音くん、ある人のものになっちゃったんだよね。たぶんしばらく大学にも行けないと思うから、これ俺の連絡先ね〜!じゃ!」
佐倉の声だろうか。
海堂さんが俺を探してる?
それより優は………?
優は、俺のこと軽蔑しただろうか。
優、優、優………
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