31 / 32
第31話
***
「紫音、大事な話がある。」
海堂さんは俺を起き上がらせて、
ベッドから降りて跪いた。
「俺と結婚しよう。
おまえを一生大切にする。
守っていくと誓う。
俺の番になってくれないか?」
そう言って目の前に差し出されたのは、
大きなダイヤがキラキラと輝く指輪。
俺は喉がカラカラになって言葉が出ずに、
代わりに目からはたくさんの涙が零れ落ちた。
「な………、え………??」
「なんだ?」
「か、海堂さんは、10歳下なんか対象外だって…」
「んなこと誰が言った」
「前に佐倉と話してたの聞こえた…」
「それに俺は肯定したか?」
してたような…、していなかったような…。
「まぁ普段ならなしだがな。おまえは別だ。」
「でもっ…」
「嫌ならNoでいいんだ。
もう少し後でもいいと思ったが、先延ばしにしておまえに逃げられると困るからな。」
「俺、男だし……」
「そんなの最初からわかってることだろ」
「そのっ…、いいとこ全然ないし、病気だし……」
「俺はおまえの少し生意気なとこも、俺の前だけは甘えたりするとこも、快楽に素直なところも全部好きだ。
セックス依存症なんて病気だとも思ってない。快楽に素直なおまえの個性だと思ってるし、俺が満足させてやる。」
「でもっ…」
「まだ一緒に暮らしてそんな時間は経ってないけど、これからおまえのことたくさん知っていきたいし、一緒の時間を共有したいと思ってる。」
真剣な眼差しが俺を射抜く。
「海堂さん…、俺…………」
俺は……………
「海堂さんとずっと一緒にいたいです…っ」
「あぁ。」
「ほんとに……、俺でいいの……?」
「当たり前だ。受け取ってくれるか?」
俺がコクンと頷くと、
海堂さんは今まで見た中で1番穏やかな顔で、
俺の左手を取り、
薬指に指輪を嵌めた。
***
軋むベッド、
ユラユラと揺れる2人の影と、
その中でキラキラと光るダイヤモンド。
「……フッ……ァアッ………海堂さんっ、海堂さん…ンゥ……」
「紫音………、噛んでもいい?」
俺の項を人差し指でトントンと叩きながら、
海堂さんは幸せそうな表情で笑う。
「噛んで。海堂さんのものにして…」
海堂さんは泣きそうな笑顔で項に唇を寄せ、ジュッと吸い付きキスマークをつける。
「紫音、愛してるよ」
ガリッ………と、海堂さんの犬歯が俺の項に刺さった。
「痛ァッ……!!ぁっ………」
項に熱が集中して、まるで血液が煮立つような感覚。
そして海堂さんからフェロモンが溢れて、俺の体がヒクヒクと疼いた。
俺の項から顔を離した海堂さんはニヤリと笑い、
俺たちは朝になるまで情事に耽った。
ともだちにシェアしよう!