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第31話

*** 「紫音、大事な話がある。」 海堂さんは俺を起き上がらせて、 ベッドから降りて跪いた。 「俺と結婚しよう。 おまえを一生大切にする。 守っていくと誓う。 俺の番になってくれないか?」 そう言って目の前に差し出されたのは、 大きなダイヤがキラキラと輝く指輪。 俺は喉がカラカラになって言葉が出ずに、 代わりに目からはたくさんの涙が零れ落ちた。 「な………、え………??」 「なんだ?」 「か、海堂さんは、10歳下なんか対象外だって…」 「んなこと誰が言った」 「前に佐倉と話してたの聞こえた…」 「それに俺は肯定したか?」 してたような…、していなかったような…。 「まぁ普段ならなしだがな。おまえは別だ。」 「でもっ…」 「嫌ならNoでいいんだ。 もう少し後でもいいと思ったが、先延ばしにしておまえに逃げられると困るからな。」 「俺、男だし……」 「そんなの最初からわかってることだろ」 「そのっ…、いいとこ全然ないし、病気だし……」 「俺はおまえの少し生意気なとこも、俺の前だけは甘えたりするとこも、快楽に素直なところも全部好きだ。 セックス依存症なんて病気だとも思ってない。快楽に素直なおまえの個性だと思ってるし、俺が満足させてやる。」 「でもっ…」 「まだ一緒に暮らしてそんな時間は経ってないけど、これからおまえのことたくさん知っていきたいし、一緒の時間を共有したいと思ってる。」 真剣な眼差しが俺を射抜く。 「海堂さん…、俺…………」 俺は…………… 「海堂さんとずっと一緒にいたいです…っ」 「あぁ。」 「ほんとに……、俺でいいの……?」 「当たり前だ。受け取ってくれるか?」 俺がコクンと頷くと、 海堂さんは今まで見た中で1番穏やかな顔で、 俺の左手を取り、 薬指に指輪を嵌めた。 *** 軋むベッド、 ユラユラと揺れる2人の影と、 その中でキラキラと光るダイヤモンド。 「……フッ……ァアッ………海堂さんっ、海堂さん…ンゥ……」 「紫音………、噛んでもいい?」 俺の項を人差し指でトントンと叩きながら、 海堂さんは幸せそうな表情で笑う。 「噛んで。海堂さんのものにして…」 海堂さんは泣きそうな笑顔で項に唇を寄せ、ジュッと吸い付きキスマークをつける。 「紫音、愛してるよ」 ガリッ………と、海堂さんの犬歯が俺の項に刺さった。 「痛ァッ……!!ぁっ………」 項に熱が集中して、まるで血液が煮立つような感覚。 そして海堂さんからフェロモンが溢れて、俺の体がヒクヒクと疼いた。 俺の項から顔を離した海堂さんはニヤリと笑い、 俺たちは朝になるまで情事に耽った。

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