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第6話 ※微R18
「お兄ちゃん!
さっちゃんも赤ちゃんが欲しいのよ!」
「ブーッ!
ゲホッ! ゲホッ!!」
思わぬサチの発言に驚いた翔は飲んでいた飲みかけのミネラルウォーターを吐き出した。
「汚ねーな……ちゃんと床拭いとけよ?
…サチ、何で赤ちゃん欲しいの?」
動揺する翔とは対照的に珊瑚は冷静にサチと視線を合わせて訳を聞いた。
「アンジュ!とーっても可愛いんだもの!
サチもお姉さんになりたい!」
どうやらみなと光輝の赤ちゃん“愛樹”の影響らしい…。
確かにビデオ通話では小さくて愛くるしい姿に皆が癒されている。
「へぇー…
そっかー。
でも赤ちゃんは欲しい人みんながもらえる訳じゃないんだよねー。
カケにもお願いしてごらん。」
「うん!
カケ! サチ、妹が欲しいなぁ!
おねがーい!」
どこで身につけたのだろう…
こんな可愛い女の子に上目遣いプラス笑顔で“お願い”されたら大概の男は“いいよ”と答えてしまうだろう。
「でたっ!
サチのお願い!(笑)
でも兄ちゃんとカケは男同士だから赤ちゃん出来ないんだぜー!」
つい最近珊瑚からLGBTを含むだいぶ内容の濃い性教育を受けたアッシュは得意気にそう言いながらサッカーシューズを履いている。
これからクラブの練習なのだ。
「……なるほど…?
えっとー…困ったな…どうしよ…(苦笑)」
多分お人形を与えても満足してくれるような年齢ではないだろうし……
「…弟でもいいのよ?」
困惑する翔を見てサチは妥協案を提案してくれたが、妹がダメなら弟を…とかそういう問題ではなかった。
「…ごめんね、難しいかなぁ…?
出来るなら俺も頑張るんだけどねー…(苦笑)」
「ダメ…?」
「うーん……」
「アッシュ行くぞー。」
今日は珊瑚が送迎担当の日だ。
練習時間の間にちょっと撮影するらしい。
「はーい!
行ってきまーす!」
「あ! 珊瑚っ!
あ! さっちゃん! 泣かないで!」
翔は慌ててサチに駆け寄った。
夜…
「ほら、サチ。
新しい“妹”だよ。」
帰宅した珊瑚はそう言うと、小さな段ボールを差し出した。
「ネコちゃん!!」
え?猫?と、驚いた翔もキッチンから飛んできて箱を覗く。
「うわぁー! 子猫だ!
どーしたの?」
「…ちょっとツテで譲ってもらってた。」
「良かったな!サチ!」
顔にまで泥をつけたアッシュはとても嬉しそうな妹を見て笑顔を見せた。
「お兄ちゃん、ネコちゃんよっ!
ネコちゃんがサチの妹?」
サチは驚きながら珊瑚にそう訊ねた。
「そうだよ。
うちは血の繋がらない兄弟だってサチも知ってるだろ?それでも俺たちは家族。」
「知ってる。
おばあちゃん、血は関係ないっていつも言ってた!」
「そうだな。
うちの場合、妹がネコの場合もあるんだよ。
ペットって呼ぶ人もいるけど、例え動物でも、うちに来たら家族だ。
まだ赤ちゃんだからちゃんとお世話しないといけないんだ。サチ、ちゃんと面倒みるって約束出来る?」
「うん!
出来るっ!
サチお姉さんだもん!」
「アッシュも世話を手伝ってくれる?」
「いいよ。
俺お兄ちゃんだから!」
2人は早速子猫に夢中だ。
「珊瑚…!!
動物飼うの迷ってるって言ってたのにいーの?
決めちゃって…」
どうしても動物は寿命が短いので別れがツラいからと躊躇していたのだ。
「…仕方ないじゃん。
タイミング的には絶対今だし。」
「そっか…。
可愛いねー。
誰にもらったの?
お礼とかした方がいいのかなー?」
「あー、元カレ。
SNSで猫探してたらたまたま譲り手探してるって繋がってさ。」
「えっ?!
それで会いに行ったの?
ダメだよー!一人で行ったらっ!!
大丈夫? 何もされてない??」
翔は慌てて珊瑚に確認した。
そして自らも珊瑚を抱き締めて他の男の匂いがついていないか確める。
「ない。
向こうもとっくに新しいパートナーがいるし。
俺も…結婚したって…ちゃんと伝えてから会ったし…。」
少し照れながら話す珊瑚。
「もー…!
今度から会う前に相談してよ?」
「分かったって…!
なぁ、今日する?
こどもは出来ないけど…(苦笑)」
「…しよー。」
チュッと軽いキスを交わす2人。
「赤ちゃん出来ないのになんでヤるのー?」
「アッシュ……っ!(苦笑)」
「気持ちいいから…?」
「珊瑚っ!!」
「俺もやってみたいなぁ…! でも家族とはダメなんだよな?」
「そう。 やってみたいなら家族以外の人。
相手は男でも女でもいーけど、無理矢理はダメ。
あとゴムはつける。」
「うん、分かったー!
あ、珊瑚兄とカケのするとこ見に行ってもいい?」
「………。」
オープン過ぎる性教育に翔は頭を抱えた。
とてもじゃないが、ヤれる気がしないし、多分そんなことしたら捕まる気がする。
「それはダメ。」
「何でー?
見るだけ…。勉強だよ?
キスはいいのに?」
「翔と心を通わせる大事な行為だから…。
2人きりじゃないとダメなんだ。」
「珊瑚…っ!」
珊瑚の台詞に感動する翔。
今夜は情熱的な夜になりそうな予感がした。
「そっかー…!」
「カケに性教育系の動画見せてもらいな。
おいっ、ちゃんとしたやつ選べよ!
AVじゃないやつだからな!」
「え?
俺?」
「俺、女の裸無理。」
「………。
承知しました。」
情熱的な夜を迎える前に新たな試練と課題が科された……。
そんなことは知らず、サチは子猫に夢中。
「しっぽー!
出ておいでー!」
「……?
サチ、…しっぽ?
こいつの名前?(苦笑)」
「うん!
しっぽちゃんっ!」
「いーけど……。
やっぱネーミングセンスが紅葉と同じだなー(苦笑)」
4人プラス子猫の賑やかな生活が始まった。
End
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