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第9話 ※微R18
~夏休み来日中~
「珊瑚、…珊瑚っ!」
翔に呼び掛けられ、肩を揺すられた珊瑚はハッとした表情を見せた。
「…?」
「大丈夫…? 疲れた?」
「…暑い…。」
日本の真夏の暑さにバテた様子の珊瑚を見た翔は急いで彼の手を引いて木陰へと連れて行った。
自販機でスポーツドリンクを買い、蓋を開けて手渡す。
「とりあえずそれ飲んで。」
「うん。」
ゴクゴク…と喉を潤す珊瑚。
「頭痛いとか気持ち悪いとかない?」
「へーき。」
その返事と珊瑚の顔色を見て、ホッとした翔は自分も飲み物を買って水分をとった。
「どーする?
目当ての店すぐそこだけど…珊瑚、なんか疲れた顔してるね。止めとく?今度俺が1人で買いに来てもいいし…」
「せっかくここまで来たから行こうぜ。」
「了解。
多分店の中は涼しいからさ。」
手を繋いで歩けばやはり人々の視線を浴びる。
翔は気にしてないようだし、別に暴言を浴びたわけではないが、珊瑚はやっぱりこの国は少し生きにくいなと感じた。
おばさんに頼まれた扇子と湯呑みを買って、ばら撒き用のお土産として雷おこしも何個か買った。
「よし…。
あ、そろそろお腹空かない?」
翔に聞かれるが、珊瑚は暑さで食欲がなかった。
「そんなに…。
なぁ…とりあえず疲れたから涼しいとこで休憩しよーぜ?」
「OK! カフェかなんか探すね。」
スマホで検索をする翔の腰に腕を回す珊瑚。
「カフェ…?
もっとゆっくり出来るとこがいい…。
…2人きりで。」
「っ!! すぐ探すね!
あ、分かった。 タクシーで行こ!
通りまで歩ける?」
「キスしてくれたら…。…ん。」
人混みの中でキスを交わせば、さっきとは比べ物にならないくらいの視線を浴びたが、もうどうでも良かった。
むしろなんだか楽しくなってきた珊瑚はフッと笑って暑い中、翔にピッタリくっついて歩き始めた。
珍しくデレているパートナーを前に翔は上機嫌だ。
「か、カワイイ…!
あ、そこのコンビニでなんか買って行こっか。」
「いーよ。
汗だくだからパンツ買って?
着替えたい。
サイズあるならゴムもな。 2箱。」
「…了解しました。」
タクシーで乗り付けたラブホテルは割りと豪華だった。
温めのシャワーで汗を流すと翔は珊瑚の口にコンビニの蕎麦を運んで食べさせた。
「はい、あーん。
夏バテかな?」
「1人で食えるけど…?(苦笑)」
「たまにはいーじゃん。
珊瑚なんとなく元気ないから甘やかしたいんだー。」
「……。」
自分以上に自分のことを解ってくれている翔に不覚にもキュンとする珊瑚。
友人の多い翔は連日音楽仲間たちと飲みに行ったり、LIVEを見に行ったりしていて少し寂しかったのだ。
それから…翔が本当は日本で暮らしたいと思っているのではないかという不安もあった…。
それで元気がなく見えたのだろうか…?
「珊瑚?
眠い?
少し寝たら?」
「ん…。
確かに…紅葉のせいで寝不足…。」
「そーなの?
遅くまでお喋りしてるとか?
仲いいもんね。」
「それもあるけど…
凪が帰ってくるとあんあん聞こえてくるし…」
「あぁ…(苦笑)
紅葉くんが夏休みだからかなー。
え、まさか毎晩?
やるな、凪…!」
こどものようだが食べたら眠くなってしまい、翔に言われるがまま、珊瑚は大きなベッドに横になった。
「ふぁ…。俺も後で昼寝しよっかな…。
先に起きたら起こしてね?
…おやすみ、珊瑚。」
「おやすみ…。」
眠りに入る時に翔が優しく髪を撫でてくれているのが分かった。
それは最近珊瑚がいつも感じていた優しい感覚だった。
飲んで帰ってきて、自分が先に寝ていてもちゃんと翔が愛情をかけてくれていたことに気付き、嬉しくて安心して眠ることが出来た。
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