2 / 4

第2話

それから、何をして過ごしていたのかはわからないが、気が付けば夜になっていて、そして何故か無性にその男の子の事が気になって、いてもたってもいられなくなった俺は、男の子と別れた駅に向かった。 「な、なんで…。」 駅について、目を疑う。だってそこには、落とし物保管庫の中で一人、蹲るようにして眠る男の子の姿があったから。 こんな小さな子を、こんな場所で一人眠らせるなんて酷すぎるではないか。 俺はすぐに駅員さんの元へ行き、血相を変えて問いただした。 「何故あの子があそこで寝ている?まだ小さな子供だぞ。」 「いや〜我々に言われましても…。」 「あの子の母親はどこにいるんだ!」 駅員さんの態度も不愉快で、思わず大きな声を出してしまった。すると、ため息をつき何やらメモ用紙を俺に渡す。そして俺に言った。 「私たちに、アレを保護する権利はないんですよ。」 何故なら、あれは母親の"落とし物"なんですから。…と。 「本当はいけないんですがね、特別ですよ。」 駅員さんの視線の先には、先ほど俺に渡したメモ。二つ折りになっているメモを広げてみると、あの子の母親らしい人物の電話番号が書いてあって、急いで電話をかけた。 「…はい?もしもし?」 「っ!もしもし…!」 電話に出た、若そうな声をした女性。俺は冷静を保ちながら、自分の息子が今どんな状況かにいるかを伝える。 「あ〜、あの子はそこに捨てたの。」 「は…?どういう…っおい!もしもし!?」 気怠そうに言われ、一方的に電話を切られた。ツーツーと無機質な機械音が響き、俺は堪らず舌打ちをした。 だってきっと、この母親はもう二度とあの子を迎えには来ない。 あの子はあの倉庫で一生、迎えの来ない母親を待ち続けるのか…。 「…クソ!」 可哀想だと思う。自分がなんとかしなきゃとも、思う。けど今の俺にあの子を育てる事ができるのか?人一人養うのは簡単な事ではない。俺は、本当に最後まで面倒を見る事が……。 「…ハッ…。」 そこで夢は終わった。 やけにリアルな夢だった。 いつもなら夢なんて記憶にも残らないのに、この夢は鮮明に覚えていた。

ともだちにシェアしよう!