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第2話
それから、何をして過ごしていたのかはわからないが、気が付けば夜になっていて、そして何故か無性にその男の子の事が気になって、いてもたってもいられなくなった俺は、男の子と別れた駅に向かった。
「な、なんで…。」
駅について、目を疑う。だってそこには、落とし物保管庫の中で一人、蹲るようにして眠る男の子の姿があったから。
こんな小さな子を、こんな場所で一人眠らせるなんて酷すぎるではないか。
俺はすぐに駅員さんの元へ行き、血相を変えて問いただした。
「何故あの子があそこで寝ている?まだ小さな子供だぞ。」
「いや〜我々に言われましても…。」
「あの子の母親はどこにいるんだ!」
駅員さんの態度も不愉快で、思わず大きな声を出してしまった。すると、ため息をつき何やらメモ用紙を俺に渡す。そして俺に言った。
「私たちに、アレを保護する権利はないんですよ。」
何故なら、あれは母親の"落とし物"なんですから。…と。
「本当はいけないんですがね、特別ですよ。」
駅員さんの視線の先には、先ほど俺に渡したメモ。二つ折りになっているメモを広げてみると、あの子の母親らしい人物の電話番号が書いてあって、急いで電話をかけた。
「…はい?もしもし?」
「っ!もしもし…!」
電話に出た、若そうな声をした女性。俺は冷静を保ちながら、自分の息子が今どんな状況かにいるかを伝える。
「あ〜、あの子はそこに捨てたの。」
「は…?どういう…っおい!もしもし!?」
気怠そうに言われ、一方的に電話を切られた。ツーツーと無機質な機械音が響き、俺は堪らず舌打ちをした。
だってきっと、この母親はもう二度とあの子を迎えには来ない。
あの子はあの倉庫で一生、迎えの来ない母親を待ち続けるのか…。
「…クソ!」
可哀想だと思う。自分がなんとかしなきゃとも、思う。けど今の俺にあの子を育てる事ができるのか?人一人養うのは簡単な事ではない。俺は、本当に最後まで面倒を見る事が……。
「…ハッ…。」
そこで夢は終わった。
やけにリアルな夢だった。
いつもなら夢なんて記憶にも残らないのに、この夢は鮮明に覚えていた。
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