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「真城様はね、こちらの香月様の恋人でいらっしゃるの。おかしな噂を立てないでくださらない?」
香月様?
恋人?
ツインテールの女子の口から突然真城の名前が飛び出してきた。
とたんにオレの心臓が飛び跳ねる。
そんなハズはない。
真城に恋人がいるなんて聞いたことがない。
それにだってオレは真城に抱かれた……。
だから真城はオレと付き合って……。
――いや、違う!!
だってオレ、真城に好きって言ってない。
それに真城もオレが好きって言ってない。
今さらながらにその事実がオレの胸をえぐる。
ああ、そうか。真城は優しいから困っている人間を見捨てることができなくて……。
「っつ!」
そうだよな。
真城は綺麗だし異世界だけど王子様だし、身分もオレなんかよりずっと上で――しかもオレ、男だし。
こんな奴、本気になるわけがない。
バカみたい。
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