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 自暴自棄になっているオレは差し出された手を掴んだ。  すると男の人はオレを片隅にある小さなホテルへと連れて行く。  中に入ろうとしたその時だった。 「椿姫!!」  真城の声が聞こえた。 「誰だお前!!」  振り向けば、真城がすぐそこに立っていたんだ。  額から流れるのは汗だろうか。肩で息、してる。  そこまでしてオレを追いかけてくれたの?  そう思うと、ズキズキ痛む胸に熱がともる。 「ま、しろ……なんで……」 「椿姫、俺は君のことを同情して抱いたんじゃない!」 「でも、だったら。なんで真城の恋人がわざわざオレのところにくるの?」 「えっ?」 「香月さんだっけ? 恋人いるじゃんかっ!!」  彼女の名前を言った瞬間だ。真城は青ざめたような表情を浮かべた。  これはきっと図星だ。  ――ああ、やっぱり香月さんは真城の彼女さんだったんだ。 「二股かよ? うっわひで~」

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