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「うわわわっ!?」
これってなに? どういうこと?
どうして僕、黒江くんに横抱きにされてるの?
「……っつぅうう」
……そういえば、少し前にもこんなことがあった。
僕はやっぱり転けて、今日みたいに手の甲を擦りむいたんだ。そしたらたまたま居合わせた黒江くんがこうして横抱きにしてくれて……。
そう、前もこうやって保健室まで運んでくれたんだ。
その時からだ。優しい黒江くんのことが好きになったのは――。
でもこの恋はけっして叶わないことは知ってる。だって黒江くんには好きな人いるんだ。
その人は、黒江くんと同じクラスの七瀬 椿姫 くん。
何を隠そう、彼こそが魔法少女ツバキなんだ。
七瀬くんはお付き合いしている人がいる。その人はこの学校の生徒会長もこなす王子様的存在で――ううん。ジェッタたち妖精が住んでいる国の『ゼレンティーテ』の本物の王子様。真城 周 くん。
だけど、魔法少女がツバキくんだっていうことも真城くんがゼレンティーテの王子様だっていうこともナイショなんだけどね。
当然、普通の人間の黒江くんは、七瀬くんがツバキだとか真城くんが本当の王子様とかいうことは知らない。
知っているのは、二人がお付き合いしているっていうことだけ。
だって二人はお似合いのカップルだって学園中に知れ渡っているくらいなんだもん。
学園の人間ならみんな知っていることだ。
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