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「ん、ぅううっ!?」  ただただびっくりして目を見開く僕に、だけど黒江くんはそのまま僕の下唇を舐めた。 「顔、真っ赤」  ふふって笑う黒江くんの顔が近くにある。  っふあああああう。  どうしよう、キスされちゃった。  ああ、でも黒江くんからしたら僕とのキスなんてただの挨拶みたいなものなんだろうか。  口が切れていたから舐めただけで、あれはただの応急処置にしか過ぎないんだろうな。  ……胸がズキズキ痛い。  僕にとって大好きな人との特別なキスは、だけど黒江くんにとってはそうじゃない。  ただの処置なんだ。  涙、出そう。  大好きな人に意識さえしてもらえないなんて苦しい。  悲しいよ。  ねぇ、恋人が居る椿姫くんじゃなくて僕を見て。  黒江くん、僕は貴方が好きなんです。  だけどきっと、こんな見た目も平凡な僕は黒江くんとは不釣り合いで、当然黒江くんは何も思わない。  知ってる。  もう、わかっている。  だから今さら泣いたってどうしようもないんだ。

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