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★゜
「遅いぞ、蓮!」
「ご、ごめんジェッタ」
あれこれ考えていたら、もう放課後になっていた。
空はオレンジ色あら藍色へと変化してきている。
もうすぐ月が顔を出す時間だ。
気がつけばこんなに時間が過ぎていたことにあらためてびっくりする。
あれから何をしても黒江くんのことばかり考えてしまって、授業どころじゃなかった。
唇の感触とか、ほっぺたを掠めた吐息とか。
黒江くんとのことを考え過ぎてもう苦しくて……。
正直、ロトスに変身するのはイヤだけど、何も考えたくない時にはこういう仕事ってあってもいいかなと思う。
気が紛れて丁度いい。
「さっきも調べていたんだけどな、若葉海岸沿いに魔法反応が出たんだ。さあ、変身だ」
僕は誰も見ていないことを確認すると、ファンシーなスティックを制服の内ポケットから取り出した。
「うん。メタモルフォーゼッ!」
僕の掛け声と一緒に、身体がふんわり輝く光に包まれる。
そうかと思えば、水色と白を基調にしたフリフリなコスチュームと黒髪の両サイドからは腰までの長いツインテールがぴょこんと現れる。その代わりに黒ブチ眼鏡が消えるんだ。
この時の格好になるとなぜか裸眼で物を見られるようになる。
ジェッタいわく、『人間の潜在能力が魔法を使って変身することによって引き出されるから』なんだって。
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