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「よし、急ぐぞ」 「はい!!」  変身を終えたジェッタに続いて、僕も負けじとファンシーなステッキに跨って空を飛んだ。  いったいどれくらい飛んだだろう。  ジェッタが案内した先は海の真ん中。  この海は、若葉市にある一番大きな海岸――その名も若葉海岸だ。  ここに何があるんだろう。  一見するといつもの海だ。どこにも変化なんてない。  でもジェッタが魔力を察知したんだもんね。きっと魔女に関係する何かがあるんだろう。  真下にある海はすっごく濃い青をしている。  まるでブラックホールの真下にいるみたいだ。  なんだかよくわからないけど、ちょっぴり怖い。  気を抜けば飲み込まれそうな感じがする……。  でもここで怖じ気づくのはよくないよね。  みんなを危険な目に遭わせたくはない。  それに七瀬くんにばかり負担をかけるのはよくないもん。  僕だって魔法男子だもん。やればできる……よね。――たぶん。  ……うう。 「真ん中あたりまで行ってみます」  怖いけど、行くしかないよね。  僕は勇気を振り絞ってステッキを握る手に力を込めた。 「気を付けてな」 「はい」  あたりはちょっぴり寒い。  とりあえず、そのまま真っ直ぐ進んでみる。

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