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「えっと?」  どんなに見下ろしても海は静かで、どこにもおかしな形跡はない……。  ジェッタの思い違いかも。  ――なんて思っていたら、ふいに足下から滑った長い触手みたいなものが僕の足を掴んだ。 「っへ?」 『にゅる』っいう、ひんやりとしたなんとも言えないヌメヌメの感触が気持ち悪い。  なにこれ、なにこれっ!!  もしかしてゼレンティーテ国を狙う魔女が呼び出したモンスターなのかな。  僕の足にまとわりついた触手は、そうかと思ったら海の中からまた新たに二本出てきて、両足を絡め取る。 「ロトス!!」  ジェッタが僕を呼ぶ。  そのとたんに、モンスターはジェッタの存在に気づいたらしい。  シャボン玉みたいな泡にジェッタが捕まった。  ジェッタを捕まえたシャボン玉は、普通の泡みたいなのに割れない。  いくらジェッタが体当たりしてもびくともしないんだ。  ああ、大変だ。ジェッタを助けなきゃ!    だけど今の僕は足の自由がきかない。  それどころか海中から現れた触手によって宙づりになった僕の身体は無防備で、両足がもっとずっと大きく広げられた。  僕、どうなっちゃうの?

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