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 でも黒江くんは僕が魔法少女だって気づいていない。  だから一色 蓮を抱いたなんて知られていない。  こんな根暗な奴を抱いたって知ったら、きっととても後悔する。  僕、嫌われてしまうかもしれない。  そんなのイヤだ。  だからこのことは秘密。たとえ同じ魔法少女として活躍している七瀬くんにもナイショなんだ。 「…………」  だけどまさか彼が魔力を持っていたなんて知らなかった。  黒江くんも真城くんみたいにどこか異世界の王子様なのかな。  うん、きっとそうだね。  だってあんなに格好いいんだもん。  そうに決まってる。  そんな昨日のことがあってから、僕はやっぱり今朝から体調が優れない。  身体が怠い。  それはきっと、昨日、黒江くんにたくさん抱かれたからなんだろう。  でもね、みんなおかしいんだ。  道行く人、みんながみんな僕を見てくるんだよ。  僕、どこかおかしいのかな。  何か顔に付いてるのかな?  鏡を見ても特にいつも通りの平凡な顔。  これといっておかしなところはない。……よね?

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