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「……やっぱり何かされたんだな」  違うと言いたいけど胸が支えて何も言えない。僕は首を振った。  だけどそれが逆に七瀬くんを疑わせる原因になったみたい。  七瀬くんは大きなため息をついて、僕の両肩に手を置いた。  なんだろう、すごく言いにくいことみたいだ。 「いいか? 黒江には近づかない方がいい。奴の正体を知るのはかえって危険かと思って今まで言わなかったんだけどな。あいつは魔女の手先。ディガーだ」 「っつ!」  な……に。  七瀬くんは、今何て言ったの?  黒江くんが魔女の手先、ディガー?  じゃあ、昨日僕を抱いたのもすべて計算の上だったっていうことなのかな。  恋人がいるツバキよりもロトスの方が頼りないしすぐになびくって思ったのかな。  ーーああ、そんなことじゃないかって思った。  だって僕は元からやぼったい容姿をしていて、元が元なんだ。いくら変身しても別にそこまで可愛くなったわけじゃない。  黒江くんはロトスを使おうとしただけだ。  知っていたものの、それでもショックなのには変わりない。  僕の身体から力が抜け落ちていく。  ぺたんと廊下に座ってしまった。 「一色? 大丈夫か?」  七瀬くんが心配している。  僕はなんとかにっこりと笑みを作ると腰を上げた。 「うん、ちょっと今朝から体調が良くなくて……」  へへって笑った時だ。 「こら、お前たち! もうすぐ四限目だぞ? さっさと次の教室に移動しないか!」  担任の先生に見つかってしまった。 「はあい」  七瀬くんは面倒くさそうに返事をする。  先生はちょっと大袈裟なため息をついたあと、僕に視線を向けてきた。

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