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 だけどおかしい。  もし、黒江くんも魔女の仲間なら、人の負の感情は彼にとってもご馳走だ。  わざわざ彼が結界を張る理由なんてない。  もしかして、僕を手籠めにするために?  それで味方のフリをしているの? 「また魔力が暴走してやがる」  黒江くんはぽつりと呟いた。  暴走させたのは黒江くん本人じゃないの?  すべては、ロトスを陥れるそのために!!  僕がこんなに好きになったのは、これもすべて彼の手の内だろうか。 「っつ!」  そう考えるといてもたってもいられなくて、僕はステッキに跨った。 「やめておけ、今度の奴も昨日の分離体だ。あれはお前の味を知った。お前では相手にされるどころかまた陵辱されて終わるだけだ」 「そんなの、やってみなきゃわからない!」 「おいっ!」  僕は黒江くんが止めるのも聞かず、ステッキに跨ると、モンスターが現れた場所まで飛んだ。  だって、のろまな僕には何もできないって言われたみたいでイヤだったんだ。  僕だってツバキみたいにモンスターの一匹くらい倒せるよ!!  躍起になって飛び出した海の上。

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