77 / 88

page77

 僕はなんて穢らわしいんだろう。  涙が流れ落ちる。 「貴様、ロトスを離せ!」  黒江くんの声がする。  とたんに僕とモンスターを繋ぎ止めていた触手が消えた。  すると快楽に捕らわれている僕は魔法さえも使えなくて、そのまま海へと真っ逆さまだ。 「んっ、あっ」  落ちる。  そう思ったけれど、僕の身体は黒江くんの腕に支えられた。 『おれは魔女によって呼び覚まされし者だ。いいのか? おれを倒したことを魔女に知られてみろ、裏切り者として追われる身になるんだぞ?』  触手がこちらに向かって伸びてくる。 「ああ、構わない。俺は俺のやりたいようにするだけだ」  黒江くんはそう言うと、手にした剣で、触手を切り刻んでいく。  だけど、斬っても斬っても触手は生えてくるばかりで減る気配がない。 「一色は俺のもんだ。誰にも渡さない……」  黒江くんはそう言うと、魔力を練り始める。  周囲には研ぎ澄まされた漆黒の炎が宿る。

ともだちにシェアしよう!