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僕はなんて穢らわしいんだろう。
涙が流れ落ちる。
「貴様、ロトスを離せ!」
黒江くんの声がする。
とたんに僕とモンスターを繋ぎ止めていた触手が消えた。
すると快楽に捕らわれている僕は魔法さえも使えなくて、そのまま海へと真っ逆さまだ。
「んっ、あっ」
落ちる。
そう思ったけれど、僕の身体は黒江くんの腕に支えられた。
『おれは魔女によって呼び覚まされし者だ。いいのか? おれを倒したことを魔女に知られてみろ、裏切り者として追われる身になるんだぞ?』
触手がこちらに向かって伸びてくる。
「ああ、構わない。俺は俺のやりたいようにするだけだ」
黒江くんはそう言うと、手にした剣で、触手を切り刻んでいく。
だけど、斬っても斬っても触手は生えてくるばかりで減る気配がない。
「一色は俺のもんだ。誰にも渡さない……」
黒江くんはそう言うと、魔力を練り始める。
周囲には研ぎ澄まされた漆黒の炎が宿る。
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