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 よかったじゃないか。好きな人の役に立てるんだから……。  僕は鋭い切っ先を心臓に突きつけた。  固く目をつむり、そのまま貫こうとしたら――。  だけど、黒江くんが止めてきた。 「おい、何をっ!」 「いやっ、離して!! もう放って置いてよっ!! こんな気持ち悪くてとろくさい僕なんて死ねばいい! 死ねば良いんだ!!」  黒江くんの手を振り切って、ロングソードを持ち直す。  そんな僕の頬を、黒江くんは叩いたんだ。 「やめろっ! やめろって!!」 「あっ!」  パシンッって乾いた音がする。  本来なら、頬を叩かれてヒリヒリ痛いのに、でも今はそれさえも快楽へと変わる。  反り上がった僕自身から、先走りが飛んだ。  こんな自分が惨めで、もう泣き崩れるしかない。 「いやああっ!」  砂浜に蹲り、泣きじゃくる。 「一色、聞け!!」  そんな僕に、黒江くんは両手を伸ばして肩を掴むと、強く抱きしめてきたんだ。 「……お前の言うとおり、初めは魔女の言いつけでお前に近づいた」 「っつ!」  ホラ、やっぱり。黒江くんはそのつもりだったんだ。

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