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第13話

 次の日、いつものように登校し放課後になるといつものように勉強会をした。そして終わるといつものように笹尾は奏を送ってくれた。 「あのね、笹尾……」 「ん?」 「……家に寄っていかない?」 「いいの?」  奏はコクリと頷くと、笹尾は嬉しそうに口角を上げている。  また、昨日のような思いをしないとならないのかと思うと、心が壊れそうだった。  自宅に着くと、笹尾と共に二階の自室に入る。  テーブルを挟んで互いに座ると、奏は改まったように正座をした。 「笹尾、あのさ……俺、笹尾の事好きだよ」  笹尾は改まった奏の言葉にポカンとし、余程びっくりしているのか口が半開きになっていた。 「じゃあ……俺と付き合って……」 「それはできない!」  笹尾の言葉を遮るように奏は言った。 「俺、笹尾の事好きだけど、他にも好きな人いるんだ……」  呆然とした様子で奏の言葉を聞いていた笹尾だったが、眼鏡の下から涙が一筋流れた。 「さ、笹尾……?」  眼鏡を外した笹尾はすぐ手で顔を覆った。 「ごめん……なんか涙が……」  笹尾は涙を我慢しようとしているのか、体が小刻みに震え、ううっ……くっ……、と言葉にならない声が口から洩れている。 (笹尾……そんなに、俺の事……)  そんな笹尾の姿を見て胸が締め付けられる。 「笹尾の事もその人の事も大好きなんだ……どっちか選べって言われても選べない……! こんな気持ちを抱えて、笹尾ともその人とも付き合えない……」  笹尾の肩は小さく震えていたが、不意に笹尾は顔を上げた。そして奏はその眼鏡を外した笹尾の顔を見た瞬間、驚きで息が止まった。

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