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第14話

「⁉︎」 「いや、ごめん……まさか、二回も振られるとは思わなかった……昨日はなんとか泣くの我慢できたけど、さすがに二回も振られるなんて……」  そう言って笹尾はシャツの裾で涙を拭っている。 「奏? どうしたの?」  奏は先程から、笹尾を指差し口をパクパクとさせている。 「ケ、ケ……ケイコーチ⁉︎」  やっと絞り出した声は裏返っていた。 「え?」  笹尾は奏の様子に戸惑っているようで、片眉が上がっている。  奏は自分の目を疑った。目の前には、あのケイコーチがいる。 (え? え? なんで? 今、笹尾といたよね? なのになんでケイコーチがいるの? 俺、夢でも見てる? )  混乱した奏は全く状況が把握できず、益々奏の頭は混乱した。 「えーと……奏? 落ち着こうか?」  笹尾は奏の隣に腰を下ろすと奏の手を握ってきた。 「もしかして……俺とケイコーチは別人だと思ってた?」  奏は小さく何度も頷いた。あまりの驚きに瞬きを忘れ大きな瞳を更に大きくし、笹尾を凝視した。 「俺の名前は笹尾慶翔(けいしょう)だからケイコーチ。俺んちテニスクラブ経営してるんだ」 「で、でもケイコーチは左利きだった! 笹尾は右利きじゃん!」 「ペンと箸は右に直されたんだよ。多分奏は、眼鏡で混乱してる?」  奏はコクコクと大きく何度も頷いている。 「眼鏡だとテニスしてる時は邪魔だから、コンタクトにしてる」  奏はまだ信じられない様子で笹尾を見つめている。 「いい? 奏。笹尾とケイコーチは同一人物なんだ!」  笹尾は握った奏の手を大きく上下に振った。 「ホント……に? 笹尾とケイコーチは同じ人……なの?」  奏の大きな瞳には涙が浮かんでおり、声も震えている。 「そう、同じ! だから悩む必要なんてないんだよ、奏!」  そう言って笹尾は、奏の華奢な体を抱きしめた。 「う……うわーーん! 良かった……! 良かったよお……!」  奏は笹尾の胸に顔を押し付けると、声を上げて泣いた。

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