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第3話
最期の日。
僕は脚を負傷し、もはやこれまでと死に場所を探していた。
その時、戦いの最中でその行方が分からなくなっていた彼に再会出来たんだ。
「汐見(しおみ)殿……」
彼は腹に銃弾を受けた様で、そこから大量の血を流し、木に寄りかかるように座っていた。
一目でもう助からないと分かる姿。
いつもより更に掠れた低い声。
僕は上手く動かせなくなってしまった脚を懸命に動かし、彼の元へ向かった。
「加寿也(かずなり)君、やっと会えたのに……」
幾度となく呼んだその名前を呼びながら彼に寄り添った。
彼は腕にも銃弾を受けた様で、左腕からは大量の血が吹き出ていた。
「……今、楽にしてあげます。そして僕も……ここで……」
「……いや、駄目だ。あんたは生きろ。生きて、俺とまためぐり逢うまで絶対に死なせない……」
苦しそうにしている彼を早く楽にしたい。
そう思って刀を抜いたのに、彼はそんな僕を制止した。
「あんたは俺が生まれ変わって再びめぐり逢い、天寿を全うするまで生き続ける……」
「うう……っ……!!」
そう言って彼は自分の真っ赤に染まった腕の皮膚を僕の脚の開いた傷口に押し込んできた。
その痛みに、僕はだんだん意識が遠のいていく。
「最期にあんたに会えて良かった。じゃあ……またな……」
彼は笑って、そしてゆっくりと目を閉じ、動かなくなった。
加寿也君!!
その名を呼びたかったのに、僕は意識を失っていたんだ。
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