4 / 26
第4話
気がついた時、僕は拘束されていた。
「賊軍の生き残りだな。名前は?」
「……汐見晃一郎(しおみこういちろう)です」
「随分と素直だな」
真向かいに偉そうに座っている軍服を着た男は僕に言った。
「殺してください。どうせ死罪ですよね?ならば今すぐ殺してください。お願いします」
彼の最期の姿が目に浮かぶ。
一緒に死ぬはずだったのに、僕だけがこうして生きている。
耐えられなかった。
彼のいないこの世に、何の未練もなかった。
僕の願いは聞き届けられ、その日のうちに死罪になった。
首を斬られ山に棄てられた僕は、何故か生きていた。
その痛みで意識を失い、このまま死ぬんだと思っていたのに、気がつくと山の中にいて、傷口も塞がっていて、何事もなかったようになっていた。
その時、彼の言葉が頭を過ぎった。
『あんたは俺が生まれ変わって再びめぐり逢い、天寿を全うするまで生き続ける』
あれは……本当だったという事なのか。
ふと、あの時彼が触れた脚を見た。
傷口の塞がっているそこは、そこだけが赤黒く変色していた。
「加寿也君……」
僕は、待つしかないのか。
僕よりも3つ若いのに先に逝ってしまった君を。
……いや、探すんだ。
君が生まれて変わってまた僕の前に現れてくれるというのなら、僕は君を必ず見つけだそう。
歩こうとすると、変色した部分のある脚はあの時と同じように上手く動かせない。
僕は脚を引き摺りながらでなければ歩けなくなった。
そうして山を降りようと懸命に歩いたけれど、僕は飲まず食わずの状態で処刑された事もあり、山の中で倒れていた。
ともだちにシェアしよう!