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第4話

気がついた時、僕は拘束されていた。 「賊軍の生き残りだな。名前は?」 「……汐見晃一郎(しおみこういちろう)です」 「随分と素直だな」 真向かいに偉そうに座っている軍服を着た男は僕に言った。 「殺してください。どうせ死罪ですよね?ならば今すぐ殺してください。お願いします」 彼の最期の姿が目に浮かぶ。 一緒に死ぬはずだったのに、僕だけがこうして生きている。 耐えられなかった。 彼のいないこの世に、何の未練もなかった。 僕の願いは聞き届けられ、その日のうちに死罪になった。 首を斬られ山に棄てられた僕は、何故か生きていた。 その痛みで意識を失い、このまま死ぬんだと思っていたのに、気がつくと山の中にいて、傷口も塞がっていて、何事もなかったようになっていた。 その時、彼の言葉が頭を過ぎった。 『あんたは俺が生まれ変わって再びめぐり逢い、天寿を全うするまで生き続ける』 あれは……本当だったという事なのか。 ふと、あの時彼が触れた脚を見た。 傷口の塞がっているそこは、そこだけが赤黒く変色していた。 「加寿也君……」 僕は、待つしかないのか。 僕よりも3つ若いのに先に逝ってしまった君を。 ……いや、探すんだ。 君が生まれて変わってまた僕の前に現れてくれるというのなら、僕は君を必ず見つけだそう。 歩こうとすると、変色した部分のある脚はあの時と同じように上手く動かせない。 僕は脚を引き摺りながらでなければ歩けなくなった。 そうして山を降りようと懸命に歩いたけれど、僕は飲まず食わずの状態で処刑された事もあり、山の中で倒れていた。

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