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第5話
僕は元々寺子屋で子供たちに読み書きを教えながら、帝を中心とし、幕府がその補佐として機能する国づくりについて研究していた。
当時は異国の介入が激しくなり、隣国がその力に負け、支配されるという状況だった。
そうならない為にも国をひとつにまとめなければいけないのに、国は異国への対応を巡り分裂状態にあり、僕の主君もそれを危惧して義勇軍を組織した。
僕はその組織の中で研究していた事を軍人たちに説く存在として召し抱えられ、彼と……加寿也君と出会った。
桜の花がもうすぐ咲く時分の事だった。
「……以上で本日は終了致します」
講義を終えて書物を片付けていると、誰かが近づいてくるのが分かった。
「先生」
低く、少し掠れた声。
「君は……」
その声と、日に焼けた肌と、僕よりもずっと大きな身体に涼し気な切れ長の瞳が印象的だった。
「青柳加寿也(あおやぎかずなり)と申す者です。先生の御講義に感動し、前々よりこの想いを伝えたくおりました」
「あ……ありがとうございます……」
手を差し伸べられ、僕はその手に応える。
大きな身体と同じように大きく、鍛錬に明け暮れているのが伝わるごつごつとした手。
その力強さに、僕は圧倒された。
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