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第17話
あの夜を、加寿也君との行為を思い出すと、気持ちが、身体が昂ってどうしようもなくなる。
「加寿也君……」
今日、住吉さんに会ったからだろう、今まで以上に僕は興奮していた。
『愛してる。こんな気持ちにさせてくれたのはあんただけだ』
最期の夜に言われた言葉を、触れ合った身体を思いながら、加寿也君のそれよりもずっと細い自分の指でかつて加寿也君を受け入れた場所に触れた。
「あ……っ……」
加寿也君とは三度しかしていないのに、僕はこの浅ましい行為をこれまで幾度となくしてきた。
時代が進むにつれて便利な道具も増えてきて、お店に行かなくてもインターネットで買えるようになって、僕はとうとう加寿也君の代わりのモノを手に入れていた。
「んん……っ……!!」
指で物足りなくなると、本物そっくりのカタチをしたモノで身体の疼きを収めようと、僕はソレを自分の中に挿入していく。
加寿也君と同じくらいの大きさだけど無機質なモノ。
僕の身体はそれでも満足出来るようになっていた。
「あぁっ、加寿也君、加寿也君……
っ……!!」
あの時の抽挿を思い出しながら身体に収めたモノを動かし、僕は達した。
「はぁ、はぁ……」
こんな事をしても虚しくなるだけなのに。
けれど、止められない。
僕は何度かこの行為を繰り返した後、シャワーを浴びた。
シャワーから出ると、住吉さんからメッセージが届いていた。
『今日はご馳走様でした。あそこの桜が散る前に夜桜でも見たいと思ったので、ご一緒にお酒でも飲みながら見ませんか?』
夜桜。
加寿也君と初めて一緒に見たのも夜桜だったな。
僕は未だ確証が持てなかったけれど、住吉さんの誘いに乗っていた。
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