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第19話
気がつくと、僕は裸で布団に寝ていた。
横には……住吉さんが寝ている。
「えぇぇぇっ!?」
思わず大きな声を出してしまってた。
昨日の事が、桜を見ていたその後の事が全く思い出せない。
僕、もしかして酔った勢いで住吉さんと……?
ドキドキしながら必死に思い出そうとしていると、住吉さんがうーん、という声を発して目を覚ます。
「す、住吉さん!?」
「おう、おはよ、先生。昨日はすっかりしてやられたぜ」
「ど、どういう事ですか?」
僕を見ながら話す住吉さんは、少しだるそうに話していた。
「覚えてねーのかよ!!あの桜の下で突然寝だしたから代行で送って来たんだけど、先生は突然起きてまた飲みましょうって言って俺に日本酒飲ませまくった事とかさぁ……」
「えっ、そ、そんな事を……」
「で、なんか知らねぇけどテンション上がっちゃって脱ぎだして居間で裸で寝ちまったから布団敷いて運んだんだぜ?そしたらまた突然起きて一緒に寝てって騒ぎ出して……先生、酔ったら面白いな」
「…ごめんなさい…」
僕は、自分がしてしまった事を心から恥ずかしいと思った。
「もしかして、起きた瞬間俺とヤッた?って思った?」
「えっ、いやっ、まさか。だって男同士ですし……」
ニヤニヤしながら僕を見ている住吉さんは、僕をからかって笑っていた加寿也君の顔と同じだ。
「……先生、知らねぇの?男同士でもヤれるって……」
「……!!」
いきなりその身体が近づいてきて、大きな手が僕の頬に触れて、身体が震えてしまってた。
これであの声で言われていたら、僕は完全に住吉さんを求めていたと思う。
いつもとは少し違う声で言われたけれど、僕は加寿也君のあの低くて甘く掠れた声を聞きたいと思っていた。
「かーわいい。先生、これだけで震えてる」
そう言って、住吉さんは僕の頭を撫でてきた。
この感じ……加寿也君に撫でられているみたいだ。
「や、やめて下さい。僕の事、からかってるでしょ?」
「あっ、バレた?悪ぃ悪ぃ」
本当はもっと触れてて欲しかったけど、これ以上されたらどうにかなってしまいそうで怖かった。
僕が言うと、住吉さんは笑顔のまま僕から離れる。
「先生、悪いんだけど俺二日酔いで頭痛くて今すぐ動けなさそうだからこのまましばらく休ませてもらってもいいか?」
「あ、ええ、構いませんが、お仕事大丈夫ですか?」
「今日は休みなんだ。だから大丈夫」
「そうですか。ゆっくり休んで下さいね」
「サンキュー、んじゃおやすみ……」
離れてすぐにそんな事を言われて、僕は少し驚いた。
けれど、加寿也君といるみたいで嬉しかった。
……あれ?
住吉さん、僕に対しての言葉遣い、変わってたよね。
何でだろう。
今の方が親しみやすさを感じられるから好きだけど。
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