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第22話
食事を終え、住吉君に食器を片付けてもらうと、住吉君の車で約束していた僕の洋服選びに市街地にあるデパートに向かった。
市街地に出るのはどのくらいぶりだろうか。
全然思い出せない。
人混みが怖くてマスクもしてみたけど、変じゃないかな。
「先生、そんなキョロキョロしなくてもいいだろ」
「あっ、すみません、久しぶりに街に出たので緊張しちゃって」
「田舎から出てきたばっかの子かよ。ホラ、行くぞ」
「は、はいっ」
白いパーカーにジーンズ姿の住吉君は着物を着ている僕よりも歩くのが早くて、僕は少し後ろを歩く感じになっていた。
「おーっす」
「住吉さん、いつもありがとうございます」
住吉君はその階全てがそのお店みたいな場所に僕を連れてきてくれて、顔見知りらしい店員さんに声を掛ける。
名札を見ると苗字の他に『店長』の文字が書いてあって、住吉君より少し低くて痩せているけど割と背の高い男性。
その人が僕を見ると笑いかけてくれたので、僕は会釈していた。
「こちらの方は?」
「友達だよ。服選ぶの付き合って欲しい、って言われてさ」
「住吉さんにこんな綺麗なお友達がいらっしゃるなんて意外ですね」
「意外って…失礼だな」
どうやら住吉君とは仲の良い人みたいだ。
「ゆっくり見ていってください。気になったものがあれば試着もして頂いて構いませんので」
「は、はい、ありがとうございます……」
店員さんの笑顔に応える僕。
初めての場所に、僕はすごく緊張していた。
「先生、俺みたいにジーンズ履いてみるか」
店員さんがいなくなると、住吉君は早速僕の服を選び始めた。
「ウエスト……どのくらいかな……」
僕は3本ジーンズを渡され、試着室という場所に連れて来られる。
「試しに履いてみて、ちょうどいいのあったら教えてくれ。近くにいるから」
「分かりました」
カーテンを閉めると、ドキドキしながら着物の下からジーンズを履く。
1本だけ多分ぴったりのものがあったんだけど、着物とは違う密着感に僕は違和感を感じていた。
特に股の辺りが締め付けられてる感じがして、それがすごく気になる。
今の人達、これで普通に過ごしているなんて凄いなぁ。
「あ、あの、住吉君、これがちょうど良かったです」
僕はジーンズを履いたまま、住吉君に声を掛ける。
「うわっ!先生、脚ほっそ!!」
「変……ですか?」
「いや、変じゃねぇけど……」
そう話す住吉君の顔は少し紅らんでいた。
「上はこれがいいと思うから着てみてくれ」
「はい、ありがとうございます」
渡されたのは淡い黄色のカーディガンと白いシャツだった。
着物を脱いでそれらに袖を通す。
少し大きめなので、ジーンズ程の密着感はなかった。
「住吉君……」
外に行こうとすると、草履の横に紐の付いた黒い革靴が置いてあった。
「草履だと変だろ。それ履いてみろよ」
「あ……はい……」
革靴、ずっと昔に履いたような気がする。
ドキドキしながら足を入れると、ぴったりだった。
「ん、いいんじゃね?とりあえずこのままで出かけるか」
「分かりました……」
お店の人から袋を頂き、そこに着てきた着物や肌着等を入れると、住吉君がそれを持ってくれた。
住吉君はグレーのパーカーも選んでくれて、今選んでくれた服も含めて全部プレゼントしてくれたんだ。
「いいんですか?こんなに沢山……」
「いっつも美味いメシ食べさせてもらってるからな。お礼だよ」
「ありがとうございます」
住吉君の笑顔に、僕も笑顔になる。
それから僕は住吉君とデパート内で開催されていた絵画を見て、喫茶店でコーヒーを飲んでから家まで送ってもらった。
「今度会う時、その服着てろよ」
「あ……はい…」
別れ際、住吉君にそう言われて僕は返事はしたものの、ジーンズの密着感が気になって仕方なかった。
住吉君を見送ると、僕は家に入ってすぐジーンズを脱いでいた。
「うぅ……っ……」
ジーンズの中で締め付けられていた僕の雄は堅くなっていて、下着に染みを作るくらい濡れてしまっていた。
「加寿也……君……」
『こんな事で濡れまくってるなんて淫らだな』
「あぁっ、ごめんなさい、淫らな僕でごめんなさい……」
加寿也君に背後から抱き締められてその手に雄を包まれながら耳元で囁かれる姿を想像すると、自分の手なのに快感を感じてしまう。
ジーンズと下着を膝下辺りまで下ろして雄を扱くと、僕はくちゅくちゅといやらしい音を立てる自分に興奮し、達してしまっていた。
「はぁ……っ……」
ティッシュで汚れた手を拭いた後、それをビニール袋に入れてゴミ箱に捨ててから洗面所で手を洗う。
これを履いたらまたこんな風になってしまうのかな。
僕はそんな自分を浅ましく感じた。
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