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第3話
思ってもいないくせに、自分のことを爺だと嘯く理人。
年齢を考えれば衰えを見せない体格と筋肉は、彼がまだ自分を現役だと思って手をかけている証拠だろう。
そういって指摘すれば「年寄とは認めなくても孫がいるんだから爺だ」といってのけるに違いない。
指の間を滑る白髪が愛おしくてたまらない。
年甲斐もなく熱くなっていく体を、お互いにこすりつけあって、体勢を変えていく。
「新婚だから、盛りもするだろ……ほら、こっち……」
理人は手際のいいことに、オレをなだめながらあちこちにキスを落とし、身に着けていたものをはぎ取ってベッドの下に投げ落とす。
「ゃ…ん、ぁ……ちょ……腹上死はやなんだけど……」
「そうか? むしろ俺は本望だけどな」
「残されたほうは、いたたまれないと思うんだよね」
「同時じゃないなら、それもそうか」
くすくすと笑いながら、肌を合わせる。
あの頃のようなはじけそうな張り詰めた肌ではなく、しっとりと手に馴染む感じ。
それで肩当たりのもりがった筋肉が動くと、次の動きを予想して呼吸が浅くなる。
血流がよくなって、うっすらと肌に色が付く。
吸い痕をつけるのも一苦労だろうに、飽きることなく理人はオレの肌に吸い付いていく。
熟れた体は、懐かしい愛撫に瞬く間に熱をあげる。
「しゅう……ここ、だろ?」
昨夜の名残でまだ柔らかな場所に、理人が入り込む。
熱の塊が、ぐいっとオレのいいところをこすりながら移動する。
ぐじゅ、と濡れた音がした。
「ひゃ……あ、ああ…ん、ん……あ…」
「いい声」
「隣…に、きこえ……」
「聞かせてやれ」
「だ、め……だって、ああ……これからの、近所づきあい、考えろよ……」
しがみつきたい。
汗で滑る背に手を伸ばす。
腰に足を絡めて、引き寄せた。
「そういいながら、いい反応」
「新婚、だからな」
からかうような言いざまに悔しくなって、耳をなめたら、理人がキレた。
「いい度胸だ。じゃあ、新婚らしくしようぜ」
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