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第4話

明け方に一戦交えて、そのまま二度寝した。 怠惰で、最高な朝。 コーヒーを淹れている間に、理人が近所のパン屋でサンドウィッチを買ってきてくれた。 二人で食卓を整えて、二人でテーブルにつき、遅めの朝食をとる。 穏やかで憧れていた、こんな風景。 「角田(すみだ)から連絡があった」 スプーン二杯の砂糖をコーヒーに入れて、理人は砂糖壺をこちらへ押しやる。 オレはコーヒーはブラックなので、そのままテーブルの端に置きなおした。 理人が「おや」という顔をする。 「そうなの? なんて?」 知らんぷりで会話をつなげるのは、面倒だから。 同じところがあれば違うところもある。 時間がたつっていうのは、そういうことだろう。 「一昨日のうちに手続きは全部済ませて、内容証明を送ったらしい」 「相変わらず仕事が早くて、助かるね」 告げられた内容に微笑んで答えたら、にやりと笑われた。 内緒話の種明かしをするような、どや顔。 「息子の方だけどな」 え? 角田というのは、オレの高校の先輩で長らく理人のサポートをしている……はずだった。 なるほど、時間がたつというのは、こういうことだ。 「本人は?」 「楽隠居決め込んで、悠々と田舎暮らししてるぞ」 「いつから?」 「もう、五年になるか」 「へぇ……そのうち、挨拶に行きたいな」 「そうだな……落ち着いたら早めに行くか」 答える間に少し考え込んだのは、きっと、すんなりといかないと理人も予想しているからだろう。 とかく、人間関係は難しい。 結婚なんていうのはそういうのもひっくるめてのもの。

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