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 壱人の場合は欲目なしに本当にかっこよくて、半端なくモテる。モデル並のルックスと長身のお陰で、制服姿でも年上のお姉さんから逆ナンされるくらいだ。  そんなだから両思いになれたことは嬉しいんだけど、なんで俺なんかが好きなのか不思議でしょうがない。 「泉、ごめん。やり過ぎた」  姉ちゃんから借りて愛読しているベーコンレタスな小説や漫画なんかは目じゃないくらいに生々しくてやらしい行為の後、 「なあ、壱人。いったい俺のどこが好きなんだよ」  そう聞いてみたら、 「そんなの全部に決まってんじゃん」  間違いなく何も見えなくなってしまっているであろう壱人はそう言って、俺のおでこにキスをした。  恋は盲目の他にも惚れたもん勝ちだとか言うが、俺はこれは違うと思っている。どっちかと言えば惚れたもん負けっていうか、惚れたからしょうがないってそんな気もしていたり。  基本的には女好きな壱人がグラドルなんかの話をしたり、アダルトDVDを持っていても仕方ないって思うし。まあ、俺も持ってるしね。 「壱人。先にシャワー借りるな」  結局、おじさんがいるのにお風呂に行こうとしてる俺。自分の家は専業主婦の母さんがいる。母さんに風呂に入ってるところを見られたら、いろいろ怪しまれるだろう。  その点、新見家のお風呂はおばさんは仕事中で不在だし、おじさんに出くわさなければなんとかなる。必要以上にキョロキョロしながら、俺は風呂場に向かった。  壱人と付き合い始めた……、と言うか両思いになった次の日に彼女の結木さんと別れた壱人。それから少しして二人で行った花火大会で、壱人に他校生の彼女ができたと噂になった。  その彼女っていうのが、コスプレ好きな姉ちゃんに女装させられた俺だったりするんだけど。まあ、そのお陰で壱人が女の子から告られることはなくなったけど、どうやらその他校生の彼女のことが学校中の噂になっているらしい。

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