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(おバカでも)三人寄れば  そんなこんなで翌日。米倉泉、16歳。ちなみに桃の節句が俺の誕生日ね。16年間生きてきたなかで、初めて修羅場というものを経験しております。  事の始まりは今朝にまで(さかのぼ)る。壱人と肩を並べて仲良く通学し、教室の前で別れる時に、 「泉。昼休みに屋上な」 「へ?」  急にそんなことを言われた。  南校の屋上は不良のたまり場だからなどという王道な理由じゃないけど、普段からあまり一般生徒は寄り付かない。そんなこんなで告白の呼び出し名所だとかになっていたりするんだけど、そもそもいまさら壱人に告られるはずもなく。  なんとなく嫌な予感がしていた。別れようとか大事な話があるとかな予感じゃなく、性的に感じる身の危険とかな方ね。  基本的に学校じゃ単なる幼なじみのふりをしてるし、壱人から言わせれば不満たらたららしいし。いろいろと。  学校でのエッチは男のロマンだなんて豪語してるけど、俺もれっきとした男だっつーの。まあ、つまりは二人っきりになった途端に壱人が野獣化しそうで、それだけが心配だったんだけど。 「おお、泉。こっちこっち」 (――え?)  だけど屋上で俺を待っていたのは壱人一人じゃなかった。 (――なに。この状態)  ぶんぶんと大きく手を振っている壱人の隣に、にこにこと綺麗な笑顔で笑っている美少女が一人。俺とよく似た背格好で、同じ所にホクロがある俺と同じ名前のクラスメート。  しかも、単なるクラスメートじゃなくて壱人の元カノだ。すわ別れ話だとか彼女に俺たちの関係がバレただとか思う以前に、実はまだ付き合っているだとか言われそうな気が一瞬だけした。  だがしかし、彼女、結木(ゆうき)さんは俺のことを壱人の単なる幼なじみだと思っているはずだ。そう考えれば別れ話はまずないだろうが、それにしてはこの二人、数週間前に別れたわりにはさばさばし過ぎてないか?  冷や汗だらだらで固まっていたら、 「泉。結木が協力してくれるってさ」 「……は?」  機嫌が良さげな壱人が、急にそんなことを言い出した。

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