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(えーと、なんなんだこの状態は)
壱人と結木さんにサンドイッチされる形で挟まれて、二人から笑顔を向けられる。
「あ、泉ちゃんのお弁当かわいい」
「――――っっ」
い、泉ちゃんって!
そういうアンタの名前もいづみでしょうが。そう言ってやりたい。結木さんはどうやらうちの母さんが作った弁当が気に入ったようで、自分のおかずと交換しようと言って来た。
結局、壱人は購買で買った焼きそばパンなんかのパンの詰め合わせを。俺と結木さんは青空の下でフェンスの前に座り、二人してお弁当を広げた。
「ねえねえ。泉ちゃんはいつから新見くんのことが好きだったの?」
「い、いつからって!」
昼休みが終わってD組の前で壱人と別れた途端、彼女からのネホリーナ&ハホリーナ(根掘り葉掘り)が炸裂する。いくらかわたわたしながら教室のドアを開けた瞬間に教室は静まり返り、クラスメートから今までにないほどに注目された。
そういえば結木さんは南校でも一、二を争う美少女で、南校のアイドルだったりする。そんな美少女とどっちかと言えば地味で目立たない俺が一緒にいるのだから、よくよく考えたら注目を浴びて当たり前だ。
おまけに俺たちは身長もほぼ同じくらいだし、ただ顔の作りは全く違うけど。それから、結木さんが壱人と別れたばかりなのは周知の事実。そんな結木さんと凡人の俺が一緒にいるんだから、注目されないはずがない。
「あのさ。もう先生来るよ」
「……あ、そか。じゃ、また休み時間にね」
おまけに彼女がにっこり微笑みながらそんなことを言ってくるもんだから、あちらこちらでひそひそやられてしまった。
なんかよくわからないうちに妙なことになってきたような気がする。これってば、もしかして誤解とかされてる?
「ちょ、米倉。なんで結木と……「聞くな」
そんなこと言われても、なんて説明したらいいかわかんないから。
「……もしかしたら、もしかする?」
昼休みはいつも野球の自主練をしている橋本はそう言って、それぞれに席に着く俺と結木さんの顔を見比べた。
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